積水化学工業
可燃性ごみをエタノールに変換
実証プラント完成
新しい資源循環社会目指す
積水化学工業(加藤敬太社長)と、INCJ(勝又幹英社長)、積水バイオリファイナリー(両祖徹社長、以下、SBR)は、積水化学工業と米・ベンチャー企業のランザテック社が共同で開発した、微生物を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術(以下、BR(バイオ・リファイナリーの頭文字をとったもの)エタノール技術)の実証事業の実施、技術検証および事業展開を行うことを目的として、岩手県久慈市に実証プラントの建設を進めてきたが、このほど完成した。
4月8日には竣工式が行われ、遠藤譲一久慈市長をはじめ地域の代表者、積水化学工業からは加藤社長、取締役専務執行役員、経営戦略部長の上脇太氏、INCJからは志賀俊之会長などが出席した。久慈実証プラントの完成にあたり、積水化学工業の加藤社長が「ごみを資源化するBRエタノール技術は、多くの重要課題の解決策にもなり得るイノベーションであり、次世代に豊かな社会を引き継ぐことへ寄与すると期待している。引き続き多種多様な連携を推進し、〝ごみの資源化〟技術の事業化に取り組んでいく」。INCJの志賀会長は「この施設は〝ごみの資源化〟技術の事業化の大きな一歩となり、ゴミの焼却で発生するCO2の削減やプラスチックゴミの解決に寄与することが期待される」。SBRの両祖社長は「技術的な検証や事業化に向けての検討を行い、早期にこのBRエタノール技術を実用化・事業化することで、資源循環社会、低炭素社会の実現に貢献していきたいと考えている」と各社の代表がコメントを述べた。
この実証プラントは、積水化学工業および経済産業省が所管する官民ファンドであるINCJが共同で設立したSBRが建設。環境省委託事業による支援を受けており、BRエタノール技術の実用化・事業化に向けた最終段階の検証を行う目的から、スケールアップ時の技術検証、システム最適化、安定稼働の確認、事業性の確認などが行われる計画。標準的な規模のごみ処理施設が処理するごみの10分の1程度の量(約20㌧/日)を久慈市から譲り受けて原料とし、エタノールの生産を行う。
また自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカーなどにプラント見学やBR事業の説明、エタノールのサンプル提供などを通じてBRエタノール技術を理解してもらうことで、新しい資源循環社会システムの創生をパートナーとして共同で推進してもらいたいと考えている。
この実証プラントにおける実証試験と並行して、自治体や民間企業(廃棄物処理会社など)とのごみ原料供給協議や、エタノール需要家(資源循環取り組み企業など)との協議を進め、2025年度ごろのBRプラント商用初号機導入を目標に、事業化を目指す。
【SBR久慈実証プラントの概要】
▽場所=岩手県久慈市侍浜町本町第9地割54番1
▽敷地面積=約2万5000㎡(緑地分含む)
▽処理能力=一般廃棄物(可燃性ごみ)約20㌧/日
▽製造量=エタノール1~2㌔㍑/日
▽製造技術=ガス化改質炉(三菱重工環境・化学エンジニアリング)、ガス精製技術、エタノール生産技術(積水化学工業)、微生物触媒(ランザテック社)