昭和電工
新ケミカルリサイクル技術
マイクロ波化学と共同開発開始
昭和電工(髙橋秀仁社長)とマイクロ波化学(本社・大阪府吹田市、吉野巌社長)は、マイクロ波を用いて使用済みプラスチックから基礎化学原料を直接製造するケミカルリサイクル技術の共同開発を開始した。2050年のカーボンニュートラル達成に向けてさまざまな取り組みを実施しており、同技術の早期社会実装・事業化を目指す。
昭和電工とマイクロ波化学は、容器包装などに用いられた使用済みプラスチックにマイクロ波を照射して分解し、エチレンやプロピレンなどの基礎化学原料を製造する技術の開発に取り組む。両社はまず、基本技術の確立に向け、本年末までにマイクロ波加熱分解物の生成条件検討、目的成分の収率向上に向けた触媒等の探索、さらに分解条件や分解プロセスの最適化などに取り組む予定。
同共同開発では、電気加熱技術の一つで電子レンジでも使用されている方法であるマイクロ波加熱を利用。対象物に照射したマイクロ波が誘電体に直接作用し、内部加熱、選択的加熱、急速昇温ができる特性を有している。マイクロ波は他の加熱方法と比較し対象物のみを加熱するため、本プロセスでは、マイクロ波吸収体(フィラー)を活用してマイクロ波のエネルギーを使用済みプラスチックに集中的に与えることができ、それにより使用済みプラスチックを基礎化学原料へ効率よく分解することができる。また、従来の分解法と比較して分解時のエネルギー消費を抑えることが可能。このようなマイクロ波加熱の特性を生かし、同共同開発では、従来法では難しかった使用済みプラスチックの直接基礎化学原料化を低エネルギー消費かつ高効率に実現することを目指す。
昭和電工は03年から、川崎事業所において使用済みプラスチックを熱分解してクリーンな水素やアンモニアを製造するケミカルリサイクル事業を行っており、原料調達から分解、製品化までの事業全般に関するノウハウを所有している。マイクロ波化学は、マイクロ波技術のスケールアップを実現するプロセス開発分野で高い技術力と豊富な知見を有している。ケミカルリサイクル分野においては、マイクロ波によるプラスチック分解技術プラットフォームである〝PlaWaⅴe〟を構築しており、さまざまな種類のプラスチックに適応してきた。
昭和電工とマイクロ波化学は同共同開発を通じて省資源、資源循環、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。