【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集②】バンドー化学
補修交換需要が回復
ウェビナー等積極的に開催
バンドー化学の搬送ベルト部門の2022年3月期における業績は、樹脂コンベヤベルトは「サンラインベルト」が食品・食品機械、物流分野が堅調に推移したことなどによって前期比で売上収益が増加、ゴムコンベヤベルトも堅調に推移した。各社コロナ対策を講じてきたこともあって、特に補修交換需要が回復、前年同期を上回る水準で推移した。食品・食品機械分野においては、コロナ禍によって巣ごもり需要が拡大したことから、スーパーやドラッグストア関連が伸びたものの、生活習慣の変化やリモートワークの普及によって、外食業界や都市部の繁華街、オフィス街に立地するコンビニ店舗における客数や、売り上げ減少による影響を受けた。
物流分野においては、コロナ禍によってネット通販やネットスーパー需要が急激に拡大、各社が倉庫・物流拠点の整備として、新設・増設を行ったことから需要が増加した。しかしながら物流センターへの立ち入りが制限されたことにより、補修交換における需要が減少し、総量としては横ばい程度にとどまった。
このほか、インフラ需要向けとしては、バイオマス発電の新規需要は一段落したものの、更新需要としてFR―BIOS仕様の急傾斜搬送コンベヤベルトの販売が伸長。また、2020年3月に販売を開始した「イージーリリースNeo」においても、石炭搬送における落炭対策用としての認知度が高まり、徐々に販売実績が伸び始めている。
最近の新製品の動向としては、樹脂コンベヤベルトの新たな加工ラインアップ「ミスターProジッパー」については、リネン業界の交換需要において多くの引き合いがあり、高所や狭い場所での作業性が求められる現場でのニーズにこたえている。また、「ミスターバンシール」は新たに品種を順次追加、シール材についても当初の透明色に加え、視認性を高める効果を持たせた青色もラインアップに加えるなど、ユーザーの選択の幅を広げることで順調に引き合いを伸ばしている。5月には食品用非付着性ベルト「ミスターシルキーコート」を発売。高いはく離性と滑り性を両立したことによって、パン・菓子生地など搬送物の粘着性を抑制するために手粉を振る必要がある場合であっても、手粉を残したまま搬送できる。
先月開催された食のイベント「FOOMA JAPAN2022(国際食品工業展)」においては、〝ミスターシリーズが食の安心・安全をサポートします!〟をテーマに出展。非付着性、耐湿熱性、耐薬品性などの機能を持つベルトに焦点を当て、搬送物の居つき防止、洗浄性、クリーン性を軸にPRした。新製品であるミスターシルキーコートを披露したほか、「ミスターNスティック」「ミスターウルトラミラー」「ミスタースパイク」など、食の安心・安全に貢献できる軽搬送用ベルトを展示。これら製品の特長である、はく離性や滑り性を体感できるデモンストレーションも行った。同社では、開催期間中に来場できなかった方や、出展製品の特長をより詳細に知りたい方に向けて、7月11日~12月23日の期間、同社ホームページの特設サイト「BANDO SHOWROOM」(www.bandogrp.com/special_site/food_industry)内において「FOOMA JAPAN2022バーチャル展示会サイト」を開設している。その他の新製品開発についても、ウェビナーなどを積極的に開催し、顧客とのコミュニケーションをとることによって食品工場における〝お困りごと〟をくみ取り、潜在ニーズにこたえる製品開発を行うことで顧客満足度の向上に努めている。特設サイト「BANDO SHOWROOM」もその一環であり、新規の相手先との取り引きなど、顧客開発にもつながっている。今後はさらなるコンテンツの強化を行い、マーケティングと営業が連携・共有することによって、顧客へのタイムリーな提案力を一段と強化していく考え。海外においても同様で、対面での営業活動が難しいエリアにおいては、ウェブ面談を積極的に活用するとともに、BANDO SHOWROOMを多言語対応させるなど、オンラインによる営業活動を強化している。
最近の課題としては、原材料などの価格が挙げられる。同社としては今後も製品の品質維持・向上を図り、ユーザーの高い満足度が得られる製品を安定的に供給するためにも、製品価格の改定を行った。搬送用樹脂ベルトは本年1月1日受注分から、コンベヤベルト関連は4月1日受注分から値上げを実施した。しかしながら、原材料価格や物流費の高騰は、価格改定時を上回る勢いで続いていることから、引き続き状況を慎重に注視していく。
搬送ベルト部門の今期の予測については、足元の半導体不足や世界的な物流の混乱によるユーザー業界の生産停滞などといった懸念材料はあるものの、前年度を上回る水準の販売目標を掲げて事業活動を進めている。