エボニック インダストリーズ
バイオベース原料シリカ
タイヤ業界へ提供
エボニック インダストリーズ(クリスチャン・クルマンCEO、以下、エボニック)は、オーストリアの世界有数のシリカ製造会社であるタイのペルナーグループのピチット・バイオパワー社と戦略的提携を結び、バイオベース原料シリカ「ULTRASIL(ウルトラジル)」をタイヤメーカーに供給する。新製品のカギとなる原料のケイ酸ナトリウムは、農業副産物で、グリーンエネルギーで得られるもみ殻灰から製造。シリカは低燃費タイヤにおける重要な原料として、従来の乗用車用タイヤに比べ最大8%の燃費を低減させることができることから、タイヤ業界における持続可能な原料として需要が大幅に拡大している。次世代のウルトラジルは、バイオベースのケイ酸ナトリウムを原料とし、グリーンエネルギーで生産されるため、同製品におけるカーボンフットプリントは大幅に削減される。
持続可能な方法におけるタイヤ生産に対するニーズは急増しており、今回の提携は、再生可能原料の利用の促進を図るタイヤ業界の環境対応という目標に対応する。ペルナーグループが開発したもみ殻灰からケイ酸ナトリウムを生成する先駆的なプロセスでは、バイオマスエネルギーを使用。従来品のシリカと比較して最大30%のCO2排出量の削減が可能になる。
ピチット・バイオパワー社は精米施設とバイオマス発電所を既に保有しており、ペルナーグループから技術ライセンスを受け、タイでもみ殻灰ケイ酸ナトリウムの新工場に投資。エボニックは、バイオベースケイ酸ナトリウムの安定的な供給の確保を可能にしたことで、バイオベース原料シリカに対する世界的なタイヤ業界の需要を満たすことができる。
エボニックのシリカ事業部の責任者を務めるエマニュエル・アウアー氏は「今回の提携は、当社の製品ポートフォリオをさらに拡充するにあたり、戦略的に重要な第一歩となる。持続可能性が向上したウルトラジルを初めて提供することで、顧客のカーボンニュートラルの実現と資源循環の目標達成をサポートすることができる。継続的に世界需要にこたえるため、グローバル生産ネットワークの他の拠点においても、再生可能エネルギーの拡大を計画している」と今後の展開について述べている。
ペルナー・ジャーマニーのゲルハルト・バッハーCEOは「ドイツの実証プラントでは、エボニックとの事前検証プロセスにおける数年にわたる研究開発の過程で、バイオシリケートの優れた品質を実証した。当社の特許取得済みプロセスは、もみ殻の燃焼によるバイオマス発電所の灰をベースにしている。ペルナーバイオシリケート・テクノロジーは、稲の持つ特性をうまく利用し、さまざまな用途、特にタイヤ業界で使用されるシリカの原料となる高品質のケイ酸ナトリウムを製造する。今回の提携により、バイオシリケートを工業規模で製造することが可能となり、従来のプロセスに比べてCO2排出量を大幅に削減することができる。われわれは、世界のケイ酸ナトリウム加工産業の脱炭素化に踏み出している」と述べている。
ピチット・バイオパワー社のバンジョン・タンジットワッタナークンプレジデントは「もみ殻灰からケイ酸ナトリウムを生産することの環境におけるメリットは明らかであり、地域におけるステークホルダーにもたらすメリットも同様に重要な項目となっている。一例として、工場周辺地域の新たな雇用の創出や、発電ネットワークが利用できる農家などが挙げられる。われわれは、もみ殻灰によるケイ酸ナトリウムの供給拡大計画の一翼を担うことを誇りに思っている。世界的なシリカ生産市場を支え、二酸化炭素排出量を削減し、地球を守ることにつながる」と意義の高さについてコメントしている。