【ホース・チューブ・継手特集】
ニッタ
J―STACに参画
シングルユース用樹脂チューブ展開
ニッタのホース・チューブ製品を取り巻く事業環境は、今期(2023年3月期)の第1四半期は半導体製造装置、建設機械、自動車産業等において、部品調達問題により生産調整に追い込まれたことで、これまでの勢いにブレーキがかかった。「当社としても当初の計画値を高いレベルに設定していただけに、非常に残念」(同社ニッタ・ムアー事業部)。
しかし顧客の部材調達問題が少しずつ改善されつつあり、同社のホース・チューブ事業は、下期には回復に向かうと見ている。
製造面ではコスト上昇が避けられない。原材料や物流費、ユーティリティなどが全面的に高騰している。こうした状況の中、自社努力による合理化等のコスト低減に努めてきたが、限界を超えてきており不本意ながら同社では10月1日受注分よりホース・チューブ・継手製品を3~8%の改定率で値上げに踏み切った。
業務体制は、新型コロナウイルス感染症対策を実施しながらの対面式営業とWEB面談を両立させながら、情報交換やソリューションを展開。さらに、ニーズを織り込んだ新製品の開発だけでなく、従来製品のカスタマイズ、アップグレードによって顧客の「こんな製品があったなら」といった思いや潜在的な要求に対して確実に対応することで、受注に結び付けると同時にユーザーへの貢献度も高める。
また、このほど同社では製品を通じた社会貢献の一環として抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品の製造過程で使用される、シングルユース部素材の国産化に向けたパートナーシップ「J―STAC」に参画、国内初のシングルユース用チューブメーカーとして名乗りを上げた。バイオ製薬用途の流体における要求を満たすように設計された樹脂チューブを展開。このチューブは、ガンマ線やオートクレーブによる滅菌を可能にするもので、日本薬局方や米国薬局方をクリアしている。同社としては、日本における樹脂チューブのパイオニアとして半導体製造装置などで長年培ってきた技術を駆使して医薬・医療分野においても貢献していく。