2022年10月15日

【ホース・チューブ・継手特集】
タイガースポリマー

新バイオマス材料を使用
バイオマスシリーズ

タイガースポリマーが手掛けているホース事業を取り巻く環境は前期の堅調な水準を継続しており、今期(2023年3月期)の第1四半期もその流れを維持した。上半期は引き続き半導体製造装置業界の活況を受けて需要は好調に推移している。また、愛知県豊田市「明治用水頭首工」で漏水事故が発生。大量の漏水によって取水が困難となり、その復旧に向けた緊急措置が取られた。そのため、大量のポンプとホースを確保する必要性に迫られたことから、同社としてもホースを供給することによって復旧に貢献し、結果としてその案件が特需として働いた。

今期に入ってから例年以上に特別な需要が目立っており、送水用途のホースについては2ケタの伸びに届きそうな勢いで推移。その他の分野についても堅調に伸びている。上期においては価格改定を打ち出しており、製品価格も時勢に応じた適正価格に戻っていることもあって、同社では前年同期の実績を上回るものと見ている。

価格改定の実施は原材料価格や運送費、ユーティリティなど事業運営にかかわるあらゆる項目で高騰している事態に対応。原材料メーカーによる値上げ要請は打ち出されるスパンが短く、落ち着く気配もなく、むしろ上振れする見通しも立っている。同社では、今後も値上げという苦渋の決断に迫られる事態を視野に入れながら事業運営に取り組んでいる。

新製品の展開としては、同社では新たにバイオマス材料を使用したポリ塩化ビニール(PVC)製ダクトホースと透明チューブを開発。国内工場で生産しており、8月から市場展開している。ホースやチューブにバイオマス材料を採用したのは同社が国内初。「バイオマス(BM)シリーズ」としてラインアップを充実させ、販売に力を注ぐ。「環境対応製品として市場に先駆けて製品化したもので、反響は大きくユーザーの関心も高い。カーボンニュートラルが叫ばれている今の時代にあって、イメージ的な効果も高い」(同社)。

同社ではこれまで、省エネルギー化や再生可能エネルギーの使用などといった、生産工程における環境対応を推進、SDGsへの取り組みも行っている。企業における環境への対応がますます重要となっている現状において、グリーン調達が拡大する状況を見据え、同社では製品においてもバイオマス材料を採用した環境対応製品の製品化に踏み切った。

今回開発したダクトホースの「タイダクトホースGL―BM型」および透明チューブの「メディルチューブV580C―BM」は、使用している可塑剤を生物由来のものに切り替えたことにより、タイダクトホースGL―BM型の製品重量に占めるバイオマス材料の割合は10%、メディルチューブV580C―BMについては45%となり、日本有機資源協会のバイオマスマークを取得。タイダクトホースGL―BM型は寸法によって5品目あり、このうち3品目については在庫を持って販売し、静岡工場において生産されている。メディルチューブV580C―BMの寸法は10品目で、全サイズを在庫。栃木工場において生産している。バイオマス(BM)シリーズは市場の声に耳を傾けながら育てていく方針で、ニーズや用途を品質面に織り込みながら、製品のラインアップを拡大し、同社では社会の持続的な発展・成長に向け〝環境・社会への貢献〟に取り組んでいく。

今後に向けてはコロナ禍の影響もあり、先送りになっていた公共工事も動き始めており、下期の業績に貢献してくるものと同社では見込んでいる。ホース事業は堅調に推移し続けているが、販売の伸びがあったとしても利益面においては厳しい状況が続いている。「事業環境の変化は驚くほど速く、見通しを立てるのが困難な状況となっているが、最大限の努力を重ねることで事業の発展を果たしていきたい」(同社)。