住友理工
サーキュラーエコノミー実現に貢献
米企業と廃棄物再利用で契約締結
住友理工(清水和志社長)は、炭素回収・変換技術を備えた米国のバイオ技術会社、LanzaTeck(ジェニファー・ホルムグレンCEO、以下、ランザテック社)との間で、ゴム・樹脂・ウレタン廃棄物のサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行に向けた共同開発契約を締結した。この取り組みを通じ、両社で新たな技術を確立し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどといったサスティナブルな社会の実現へ向けた取り組みを加速させていく。
住友理工グループは、コアコンピタンスの一つである〝高分子材料技術〟を起点に、ゴム・樹脂・ウレタンを原材料としたさまざまな製品を提供。住友理工グループにとって、ゴムは最も重要な原材料の一つとなっており、主力のゴム製品において、天然ゴムと合成ゴムを合わせて、年間約4万6000㌧の量を使用している。その一方で、製造工程で発生するバリや端材、クルマの寿命に伴う廃棄部品の発生などを原因として、大量のゴム廃棄物が発生している状況も事実。ゴム・樹脂・ウレタン廃棄物を再利用し、これら原材料のサーキュラーエコノミーを実現する目的から、住友理工グループはランザテック社と共同で新技術の研究開発を始める。
ランザテック社が有する〝微生物による生合成技術〟を活用し、ゴム・樹脂・ウレタン廃棄物をガス化・ガス精製した後、微生物による培養を経て、新たに化学物質のイソプレンを生産する取り組みを目指す。エタノールも同時に生産する。最終的には、原料メーカーと協業し、イソプレンおよびエタノールを再び、ゴム・樹脂として利用するリサイクル技術の応用も視野に入れている。
住友理工が取り組むサーキュラーエコノミーについては、従来のリデュース・リユース・リサイクルといった3Rに加え、新たな資源の投入や消費をできる限り抑えるよう設計した上で、資源や製品の価値の最大化を図り、資源消費の最小化、廃棄物の発生の抑止を目指す。
ランザテック社は、低炭素燃料および化学物質の生産技術の開発と事業化を専門とする米国の技術プロバイダーで、幅広い産業分野の排出ガスや合成ガスを使い、エタノールや化学物質を生産する独自の〝ガス・ツー・リキッド〟プラットフォームを確立。炭素循環社会の実現を目指している。