【2023年3月期決算】
日本触媒
売上収益2ケタ増収
スプレッド拡大も減益に
日本触媒(野田和宏社長)は5月12日、大阪市中央区の同社大阪本社で「決算説明会」を開催した。それによると売上収益は前期比13・6%増の4195億6800万円、営業利益は同19・0%減の235億2800万円、税引前利益は同22・3%減の261億7500万円、当期利益は同18・2%減の193億9200万円となった。販売数量は減少したものの、原料価格の上昇や円安の進行などにより販売価格が上昇し増収。利益面については、当第3四半期連結累計期間まで、マテリアルズを中心に一部製品の海外市況が上昇、加えて円安の進行などによる交易条件の改善などを受けてスプレッドが拡大したが、販売数量の減少や海上輸送費の高騰などにより販売費および一般管理費が増加したことなどが減益要因となった。税引前利益は、営業利益の減少、持分法による投資利益の減少により収益が圧迫された。本年3月22日時点の業績予想値に対しては、研究費や退職給付費用などの販管費、ユーティリティコストなどが想定よりも減少したことなどが影響した。
セグメント別では、マテリアルズ事業の売上収益は前期比16・3%増の3056億8900万円、営業利益は前期並みの209億4900万円。販売数量が減少し、海上輸送費の高騰などにより販売費および一般管理費が増加したことなどの減益要因があったものの、当第3四半期連結累計期間まで一部製品の海外市況が上昇、円安の進行などによる交易条件の改善などを受けてスプレッドが拡大したことにより収益を確保した。アクリル酸およびアクリル酸エステルは販売数量は減少したものの、原料価格の上昇などにより販売価格が上昇したことで増収。高吸水性樹脂は販売数量は減少したが、原料価格や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことで増収となった。酸化エチレンは原料価格の上昇に伴う販売価格が上昇し、販売数量も増加。エチレングリコールは原料価格の上昇に伴い販売価格は上昇したものの、販売数量の減少などにより減収となった。特殊エステルは原料価格の上昇や円安の進行により販売価格は上昇したが、販売数量が減少したことにより伸び悩んだ。無水マレイン酸は原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことで増収。プロセス触媒は、販売数量が増加したことにより好調に推移した。
ソリューションズ事業の売上収益は同7・0%増の1138億7900万円、営業利益は同80・8%減の15億300万円。原料価格上昇による在庫評価差額の影響などがあったものの、生産・販売数量の減少や販売費および一般管理費の増加などが減益要因となった。コンクリート混和剤用ポリマーおよび塗料用樹脂は、販売価格の上昇や販売数量が増加したことにより増収となった。セカンダリーアルコールエトキシレート、洗剤原料などの水溶性ポリマーおよびエチレンイミン誘導品は販売数量が減少したが、販売価格が上昇し増収。ヨウ素化合物は、販売価格が上昇したことにより伸びを見せた。脱硝触媒は販売数量が増加、電子情報材料については販売数量が減少したことにより伸び悩んだ。電池材料は、販売数量が減少したことで減収となった。
今期については、売上収益は原料価格の下落による販売価格の下落があるものの、販売数量の増加などにより前期比0・1%増の4200億円を見込んでいる。利益面についてはマテリアルズを中心とした販売数量の増加やディスプレイ市場が徐々に回復することに伴う電子情報材料の販売数量の増加、海上輸送費の下落といった増益要因はあるものの、製品海外市況の軟化によるスプレッド縮小や海外子会社での設備増強による償却費の増加、原料価格の下落による在庫評価差額の影響などにより、営業利益は同23・5%減の180億円、税引前利益は同23・6%減の200億円、当期利益を同25・2%減の145億円と見込んでいる。