東レ
トレファンの生産能力増強
車載コンデンサ用
東レ(日覺昭廣社長)は、電動化車両(xEV)市場の拡大を背景とした車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応する目的から、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム「トレファン」の生産能力を増強する。茨城県土浦市で稼働させている東レ土浦工場の生産設備を増設。2025年の稼働開始を予定しており、車載コンデンサ用フィルムの生産能力を現行の1・4倍にまで増強する。
トレファンは、プラスチックフィルムの中でも軽く、強じん性・電気特性・機械的特性に優れたフィルムで、一般工業用・コンデンサ用・包装材料用などに広く利用。主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、xEVのモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。
xEVの運転性能と燃費の向上、車内空間の確保と設計の自由度向上に向けて、PCUおよびフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められており、フィルムを薄膜化することが最も有効。しかしながら、薄膜化することで耐電圧性が悪化するという問題が生じる。
トレファンは、独自技術により薄膜化と高耐電圧化といった相反する性能を両立できるフィルムとして、車載コンデンサ用フィルム市場においてトップシェアを備えており、最近では環境意識の高まりから、自動車に対する世界各国・地域における環境規制強化が進んでおり、従来のガソリン車・ディーゼル車など内燃機関のみの自動車の販売を制限する動きが加速する状況にあって、xEV市場は世界的に30年までに年率平均約20%の高成長(東レ推計)が見込まれている。
東レは22年に土浦工場において、車載コンデンサ向けにトレファンの生産能力を拡大したが、xEV市場の拡大を背景とした今後のさらなる車載コンデンサの需要拡大にこたえる目的から、今回のトレファンの生産能力増強を決定した。
東レでは土浦工場での早期の生産能力拡充により、成長市場のニーズにこたえ、さらなる事業拡大を目指していく。