JSR
産業革新投資機構の買収受け入れ
半導体材料業界の再編に期待
JSR(エリック・ジョンソンCEO兼社長)は6月26日、産業革新投資機構(JIC)の完全子会社・JICキャピタル(JICC)が完全子会社のJICC―02を通じて株式公開買い付け(TOB)を受け入れることを発表した。本年12月下旬をめどにJICがTOBを行う予定で、その総額はおよそ9040億円。TOB実施後、計画通りに進めばJSRは2024年度に上場廃止し、JICC―02の完全子会社となる予定。同日、ジョンソンCEO兼社長がオンラインで会見を行い、今回のTOBの経緯などについて説明を行った。
政府系ファンドであるJICCは、日本にとって重要度の高い産業分野の競争力強化と拡大を図る目的から積極的な投資を通じて構造改革や、業界再編の支援を行っている。
現在JSRでは、コア事業である半導体材料およびライフサイエンスの事業の強化を図っている。特に現時点で世界をリードする位置にある半導体材料事業については、市場の成長、技術の進化が速く、グローバルに競争優位性を発揮し、さらに成長していくためには、大胆な資本政策と迅速な意思決定に加え、業界再編を積極的に志向することでより強固な事業基盤を実現し、規模の拡大を図る必要があると考えている。そのため、国内半導体材料業界の構造的課題および解決に向けた資本政策に関する検討を進めてきた。そのような中、JICCはJSRのビジョンと戦略の方向性を理解していることから、JSRは戦略的パートナーとしてのJICCによる同社株式への公開買い付けに賛同の意思を表明した。
ジョンソンCEO兼社長は会見で「JICが半導体材料業界再編の機運を高めてくれるのではないかと期待した」と、理由について述べた。
なお、JICはJSRの企業価値の向上を図り、5~7年後に再上場させる方針を示している。