【トップインタビュー2023】
ゲイツ・ユニッタ・アジア 萩原 豊浩副社長
ユーザーと地球環境に貢献
新たな分野での用途開拓を探索
ゲイツ・ユニッタ・アジア 萩原 豊浩副社長
【2023年12月期のこれまでの状況について】
第2四半期(1―6月)の業績については売上高、利益面ともに昨年同期並みの実績で折り返した。当社が事業を展開する日本、中国、インド、韓国、アセアン諸国の各国の状況としては、特に中国はゼロコロナ政策のロックダウンによって工場の操業停止を余儀なくされるなど、昨年は業況が思わしくなかっただけに復活の度合いが大きい。自動車分野においては、中国はEV化の進展が著しいことで、これまで主力であった内燃機関搭載車向けのビジネスは苦戦が続いている。また、自動車産業にかかわらず全体的な景況が芳しくないため、消費者マインドが冷え込んで不透明感は色濃く漂っている。しかしながら、現状ではOEM向けより補修パーツ用部品の販売比率が高く、アフターマーケットにおける取り替え需要が好調に推移したことでOEM向けの減少分をカバーすることができた。またインドにおいても、半導体の供給不足の緩和や現地経済の復興を背景として自動車産業が回復を遂げており、当社の販売もそれに追随して好調を維持した。国内についても半導体のひっ迫が緩和されてきたことで回復の一途をたどっている。ただ、日本と韓国では収益を確保するために価格改定を実施し、その効果によって利益率の改善が図れた。一方、一般産業用についてはOEM向けが好調に推移し、前年同期に対して2ケタの増収となった。インドに関しては、主要顧客が好調なため当社のOEM関系も大きく伸びた。上期を総じて見ると、地域や事業ごとで明暗があるものの、比較的堅調な中国とインドに支えられ、低調な地域と分野を補えた印象だ。
【通期の見通しについて】
国内では半導体の供給困難の状況は改善が進んでおり、国内自動車産業の生産もさらに回復が進むと見通している。内燃機関用のベルトも安定的な需要があるので下期に向けては少し明るさが出てきた。しかしながら、一般産業用については昨年まで好調であった半導体製造設備向けが需要の端境期に入っており、これまで売り上げに占める比率が高かった半導体関係が鈍化していることは今後の収益に大きな影響を与える。通期全体では、そういったマイナスを好調な分野がカバーして昨年並みの水準で落ち着くと見ているが、当社ではUSドルでビジネスを管理している関係上、現地通貨で見ればもう少しパフォーマンスは上がるはずだ。
【今後の課題を挙げるとすれば】
国内の一般産業用においては、これまで半導体関連への依存度がかなり高いため、現在ロボット、物流、新エネルギー関係など新たな分野での用途開拓を探索しており、既存製品のカスタマイズを含めて、高精度な要求を満たす開発に取り組んでいる。
【今後の成長を視野に置いた戦略は】
自動車分野における今後の大きな方向性としては、一つはEV車でのエンジン周り以外の駆動部分での展開を強化していく。また、水素エンジンは構造自体は基本的にこれまでと変わらないので、当社としてもそれに応じた開発を進める。近年では、一般産業用における環境規制への対応も大きなテーマとして持ち上がっており、ベルト走行時の発じんの抑制のほか材料の置き換えによって各種規制に適合する環境配慮型の開発も力を入れている。タイミングベルトの高速回転時の低騒音化などにも取り組んでいく。当社としては、こうした製品を逐次投入していくことでユーザーと地球環境に貢献を果たし、企業として持続的な発展を遂げていきたい。