日本ゼオン
2024年3月期第2四半期決算説明会
電池材料出荷は2ケタの伸びに
日本ゼオン(豊嶋哲也社長)は10月27日、オンラインにおいて「2024年3月期第2四半期決算説明会」を行った。当日、同社取締役執行役員の曽根芳之管理本部長が当期の決算概要について説明した。
それによると、売上高は前年同期比6・1%減の1854億4200万円、営業利益は同53・1%減の94億6100万円、経常利益は同46・6%減の130億3400万円、四半期純利益は同40・5%減の103億5900万円となった。「国産ナフサ、アジアブタジエンともに原料価格が下落、為替は円安に推移した結果、今期の業績については、当期純利益を除いて予想を下回る見通しとなった」(同社)。
セグメント別では、エラストマー素材事業部門の前年同期比6・0%減の1047億3100万円、営業利益は同60・9%減の36億4400万円。営業利益における前年同期に対する増減要因は、海上運賃軟化による販管費差で27億円、為替差益として21億円の増益要因があったものの、販売価格下落による価格差で63億円、出荷量減少により24億円、エネルギー費用および定修費用高騰による原価差18億円の収益圧迫要因による影響を受けた。
合成ゴム関連では、為替影響などにより売上高は前年同期間を上回ったものの、中国経済低迷に伴う出荷の伸び悩みや市況価格下落等により、営業利益は前年同期の実績に届かなかった。合成ラテックス関連では、医療・衛生用手袋の流通在庫が引き続き過剰で需給の緩みが解消せず、売上高、営業利益ともに伸び悩んだ。化成品関連では、粘着テープ・ラベル向けの世界的な需要回復の遅れによる出荷減や市況価格下落などにより、売上高、営業利益ともに前年同期の実績を下回った。
高機能材料事業部門の売上高は同9・1%減の514億900万円、営業利益は同43・3%減の65億9200万円。営業利益における増減要因については、化学品・光学樹脂の価格改定による価格差で14億円、為替差益による7億円のプラス要因があったものの、出荷量減による35億円、エネルギー費用および定修費用高騰による22億円の原価差、新規開発費用の増加などなどといった販管費差による15億円の収益圧迫要因の影響を受けた。
高機能樹脂関連では、大型テレビ向け光学フィルムは回復基調にあったものの、スマホ、モバイル端末向け光学フィルムのテレワーク特需が一巡。光学樹脂は医療、その他用途において主力生産工場の定期修理に伴う出荷調整、半導体市場の低迷、一部顧客の在庫調整等の影響を受けたことで、高機能樹脂関連全体の売上高、営業利益ともに伸び悩んだ。
電池材料関連では、第2四半期に入ってから中国顧客の稼働率は回復基調にあるものの、中国経済低迷による第1四半期の需要落ち込みの影響をばん回するまでには至らなかった。電池材料の出荷自体は中国顧客の稼働率の緩やかな回復により同26%増となり、EV向け同22%増、民生他向けが中国顧客の生産調整による底打ちから同50%増といずれも2ケタの伸びを見せた。高機能樹脂事業における光学樹脂の状況は、光学用途向けについては、一部顧客の在庫調整緩和に伴い、前年同期比、前期比ともに出荷量は増加。医療その他向けは、水島工場定修に伴う出荷調整および半導体市場の停滞、一部顧客の在庫調整などといった影響を受けた。光学フィルムの状況については、中小型向けがタブレットおよびノートPCの生産台数減、新モデルのスマートフォン生産開始遅れの影響を受けたことで出荷量が減少。大型向けについては、22年度第2四半期におけるテレビメーカーにおける生産調整による需要が回復し、前年同期比、前期比ともに出荷量増が伸びた。
化学品関連では、合成香料の販売が一時的な市場の需給緩和の影響を受けたことに加え、特殊溶剤が主力生産工場の定期修理に伴う出荷量調整を行ったことなどにより、売上高、営業利益ともに前年同期の実績に届かなかった。電子材料関連では、半導体市場の低迷による半導体メーカーの稼働率低下の影響を受け、売上高、営業利益ともに伸び悩んだ。トナー関連では、第2四半期に中国経済低迷による需要落ち込みの影響を受けた。
その他の事業部門の売上高は同0・5%減の314億6300万円、セグメント利益は同94・6%増の13億9900万円。子会社の商事部門などの売上高は前年同期の実績を下回ったものの、営業利益は大きく上回った。
通期については、最近の業績動向を踏まえ、直近公表の予想を修正。中国の景気動向などの不透明感を背景とした市場環境の悪化により、エラストマー素材事業部門や高機能材料事業部門の主力製品について需要の回復遅れの影響などが出てくるものと見ており、同社では当初の業績予想公表時想定よりも全般的な販売数量の下振れを予想している。そうした見通しから、通期の売上高、営業利益、経常利益は前回公表予想値を下回る一方で、投資有価証券売却益(特別利益)の計上により、当期純利益は前回発表予想値を上回る見込みを立てている。こうした情勢から、同社では通期の売上高を前期比2・2%減の3800億円(当初予想値3940億円)、営業利益を同24・6%減の205億円(同275億円)、経常利益を同20・4%減の250億円(同315億円)、当期純利益を同160・2%増の275億円(同235億円)を見込んでいる。