ブリヂストン
バトラックス新商品発表会
先代商品より全性能向上
ブリヂストン(石橋秀一Global CEO)は10月29日、東京都港区の同社グローバル研修センターにおいて、2024年2月1日から国内で発売するモーターサイクル用プレミアムスポーツタイヤ「BATTLAX HYPERSPORT S23(バトラックスハイパースポーツエスニーサン)」(以下、S23)の発表会を開催した。
S23は2019年の発売開始から国内外で定評がある「BATTLAX HYPERSPORT S22」(以下、S22)の後継商品で、スポーツ走行に必要な性能が現行モデルから全域において向上。発表会で新商品の説明に立った坂上賢崇MCタイヤ事業部長は「今年で当社モータースポーツ活動の開始から60周年の節目を迎えるが、新商品にはこれまでさまざまな活動を通して鍛え上げてきた技術やノウハウを注ぎ込んだ。ある性能をアップさせると必ず背反する性能があるが、S23は一切の妥協を許さず、すべての性能を先代商品から向上させている」と、S23の仕上がりに自信をにじませた。
引き続き、技術面の詳細な説明については、S23の開発を担ったMCタイヤ開発部の原田陽一氏が行った。
S23の開発にあたっては、従来品のパフォーマンスをベースとしながら〝驚異的なコーナリンググリップの実現〟を製品コンセプトに設定。具体的な開発手法としては、フロントショルダー部とリアエッジ部への「新開発コンパウンド」の採用、溝比率とパターン剛性を最適化した新規のパターンデザインの導入、ツーリングタイヤ「BATTLAX SPORT TOURING T32」で採用実績がある〝パルスグルーブ〟をリアパターンデザインに搭載することなどに焦点を置いた。
新たに開発されたコンパウンドには路面への追従性を高める〝新グリップ向上剤〟が配合されており、さらにはゴムに含まれるカーボンを増量することでゴムの骨格となるポリマーを補強。これによって(タイヤの)変形に対してしっかりと力を込めることを可能としており、高いグリップ性能を実現している。また、パターンデザインにおいてもS22から刷新。公道用スポーツタイヤのフラッグシップモデル「BATTLAX RACING STREET RS11」の意匠や、技術を取り入れながらショルダー部の溝比率、パターン剛性の最適化を図っており、さらにリアタイヤのパルスグルーブが排水性を高めることで、ドライ性能はもとよりウェット路面においても、高い安定性とトラクション性能を発揮する。開発において用いられたコンピュータ解析では、従来品はトレッド部中央に剛性が高い部分が集中しているものの、S23は中心からサイド方向に向けても剛性が広く分散している状態が確認できており「全域において力を発揮することができるパターンによって〝踏ん張り感〟や入力に対する応答性が向上し、安心感や安定性はもちろん操縦の楽しさもアップする」(原田氏)。
リアに導入したパルスグルーブの構造と機能としては、脈動形状の溝と溝の中にあるディフレクターによって水流を均一化させ、水の流速を上げることで排水性を向上している。従来品との比較ではおおむね7%ほどの排水性向上が認められており、さらにウェット路面での安定性・安全性も高まった。
サーキット走行テストでは、ドライ路面ではS22との比較でコーナリングスピードが最大5%向上、またラップタイムは1%向上。一方、ウェット路面では制動距離を3%、ラップタイムを4%短縮した。また耐摩耗性についても8%の向上を達成しており、S23はスポーツ走行に求められるあらゆる性能面において、S22を超えた次世代のスポーツタイヤと言える。
発売サイズはフロントが120/70 ZR17M/C(58W)TLの1サイズ、リアは160/60ZR17M/C(69W)TL、180/55ZR17M/C(73W)TL、190/50ZR17M/C(73W)TL、190/55ZR17M/C(75W)TL、200/55ZR17M/C(78W)TLの5サイズ。