2024年1月20日

日本触媒
新海洋生分解性プラスチック開発

包装・農業用途向けに開発

日本触媒(野田和宏社長)は、理化学研究所環境資源科学研究センター・バイオプラスチック研究チーム(以下、理研)とともに、理研の同チーム(阿部英喜チームリーダー、竹中康将上級研究員ら)が、2021年度から参画しているNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)による委託事業「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」において、新規海洋生分解性プラスチックの開発に成功した。

現在、生分解性プラスチックは一般的に使用されておらず、陸域の土壌やコンポストでの分解を前提としたものが主流。日本触媒と理研では、ポリエチレンサクシネート(PES)を基本骨格とするポリマーに焦点を当て、新規海洋生分解性プラスチックの構造設計および開発を推進してきた。PESは、高いガスバリア性を持ち、土壌や河川で生分解される。日本触媒では過去にPESのパイロット生産を実施するなど製造ノウハウを保有しているものの、PESにおいては海洋で分解されにくいことが課題となっていた。

今回、日本触媒と理研では、PES骨格に長鎖ジカルボン酸ユニットを導入したポリマーが、海洋で容易に生分解されるセルロースと同等の海洋生分解性を発現する状況を確認。このポリマーによる新規海洋生分解性プラスチックは、高いガスバリア性などといったPES本来の特長を備えており、ポリマー中に導入するユニットの組み合わせによって幅広い機械特性を発現する。これらの特性から、包装材料や農業関連資材、土木建築資材などといったさまざまな用途展開が期待されている。今後、スケールアップ検討によって量産体制の確立を推し進めるとともに、その用途開発を加速させる。

PESを基本骨格とするポリマーに、天然アミノ酸ユニットを組み込んだ新規化学構造を備えた海洋生分解性エステルアミドポリマーについても今回の事業内において開発、こちらも高機能な海洋生分解性プラスチックとしての展開を検討していく。