バンドー化学
高負荷対応ダブルコグベルト発売

バンドー化学（植野富夫社長）は大型バギー、大型スクーター等に使用される変速ベルトの新たなラインアップとして、世界初となるセルロースナノファイバー（ＣＮＦ）複合化ゴムを適用した、高負荷条件で使用可能なダブルコグベルトの販売を４月から開始する。

伝動ベルトは幅方向には高剛性を、長さ方向には柔軟性が求められ、これらの相反する特性を極大化することにより、高い伝動能力と耐久性を併せ持った理想の性能を発現する。また、ベルト使用時の変形に伴うエネルギー損失を抑制することで高効率な伝動特性を有する優れた省エネ性能を発現する。

同社はこれらの必要な性能を満たすべく、カーボンブラックや繊維材料等の補強材料をゴムと複合化する配合設計を行う中で将来的な石油資源の供給リスク克服を見据え、鋼鉄の５分の１の軽さで５倍以上の強度を有する植物由来の新素材であるＣＮＦに着目し、その特長を生かすためのナノ分散技術の開発を進め、ゴムの補強材料としての複合化に成功し、従来品と比べ伝動能力、耐久性に優れた世界初の伝動ベルトを開発した。

ＣＮＦは植物由来のセルロースを直径約２０㌨㍍、長さ数μ㍍にほぐすことで生まれる最先端のバイオマスナノ繊維素材。軽量かつ高強度の特性を有しており、資源の少ない日本をはじめ、世界中で森林資源を生かせる新素材として注目されている。ＣＮＦを開発したナノ分散技術により複合化したゴムは、カーボンブラック補強ゴムでは成し得なかった高剛性かつ低エネルギー損失という材料特性を有し、伝動ベルトの伝動能力の向上と伝動効率の改善に大きく寄与することができる。この特長を活用してさらにベルトの幅狭化による使用原材料の削減や低燃費・省エネルギー化を通じたＣＯ２排出量削減等の環境課題にも貢献していく。

近年、大型バギーと称される全地形対応車（ＡＴＶ）や多用途作業車（ＵＴＶ）は、エンジンの高排気量化・高出力化が進み、無段変速機構で使用されるベルトに対する要求品質も高まっている。この要求にこたえるべく、同社はＣＮＦ複合化ゴムを適用した高負荷対応ダブルコグベルトの開発を進め、従来製品に対して伝動能力を大幅に向上させ、業界最高水準の低発熱性による長寿命化を実現した。

今後も大型バギー、大型スクーター等の伝動ベルト式変速機構搭載車両の高出力化を支える製品として顧客の要望にこたえるとともに、長寿命化や駆動システムのコンパクト化によるＣＯ２排出量の削減を通じて、持続可能な低炭素社会の実現にも貢献していく。

なお、ＣＮＦを用いた伝動ベルトの実用量産化においては、化学品メーカーである東ソー（桒田守社長）と連携して実施した新エネルギー・産業技術総合開発機構（ＮＥＤＯ）の助成事業「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発／研究開発項目〔１〕革新的ＣＮＦ製造技術の開発」の成果が一部活用されている。