2019年12月5日

バンドー化学
「ミスターウルトラミラー」業界初 使用可能 プーリφ27実現

バンドー化学の搬送用ベルトの2020年3月期第2四半期の業況は、ゴムコンベヤベルトについては2ケタ増となった。鉄鋼向けコンベヤベルトが大型案件の受注増などにより販売を伸ばしたほか、昨年の下期から続いているバイオマス発電所向けの堅調な動きがあり、急傾斜搬送用の「フレクスベルコンベヤベルト」などが売り上げの伸びのけん引役を果たした。樹脂コンベヤベルトについても、1ケタ台後半の伸びで推移した。特に物流分野における案件の受注が奏功した。下期についても、搬送用ベルト全体として、2ケタ増を見据えながら拡販に向けた取り組みを続けている。

 製品面では、独自の特長を備えた高付加価値品の評価が高まっており、バイオマス発電プラント向けコンベヤベルト「FR―BIOS」の引き合いも増えている。同製品は、「難燃性と耐油の特長で認知度を高め、中には元請業者様から指名買いを頂くケースも出てきている」(同社)という。

 そのほか、難燃耐熱コンベヤベルト「FR7000シリーズ」は、60~100度までの中間温度領域に対応する「FR7500」に加え、100~180度までの高温領域に対応する「FR7700」をラインアップしている。

 一方、樹脂コンベヤベルトでは、「サンラインベルト」の新製品として、小プーリ対応のフッ素樹脂ベルト「ミスターウルトラミラー」、表面のスパイク形状の耐久性を高めながら、グリップ性能の向上を図った食品用高グリップベルト「ミスタースパイク」を相次いで投入。耐候性に優れた特殊ゴムカバーにより、高いグリップ力を維持することで定評のある傾斜搬送用ベルト「ミスタークライマー」にも白色を加えて選択肢を広げており、ユーザーの要望を商品に反映させるなど、品ぞろえの充実による効果を発揮している。

 ミスターウルトラミラーは、フッ素樹脂フィルムの薄膜化を図ることにより使用可能プーリφ27を業界で初めて実現、ベルトプライ数の減少(2↓1プライ)によってベルト剛性を下げることで、同社従来品(使用可能プーリ径φ75㍉)の約3分の1に縮めた。同社ではこれまでも、ベルトの表面にフッ素樹脂フィルムを貼り付けた高非付着性のフッ素樹脂ベルトをラインアップしていたが、従来のフッ素樹脂ベルトは優れた非付着性を発揮する一方で、ベルト剛性が高いことから小さいプーリ径では使えないという制約や、ジョイント部の表面フィルムがまくれるなどの課題を抱えていた。新製品では、こういった顧客からの要望にこたえ、優れた非付着性を維持しながら新たな付加価値を搭載。従来品同様、優れた非付着性を発揮する一方で、100度までの高温・高湿搬送が可能であることから、炊き立ての米飯や熱い餅などの搬送に対応させた。クリーン性を保つことができる上、フィンガージョイントが可能なため、ジョイント部の表面フィルムまくれの発生を抑制する。

ミスタースパイクは、表面に円すい形のスパイク形状が施された食品用プラスチック製モジュールベルトにおいて、ユーザーからの「他社既存品でスパイク形状の耐久性が低いケースがある」といった対策依頼に対応。同社では長年培ってきたゴム・エラストマーの配合設計技術、ベルト設計技術を駆使し、ベルト表面のグリップ性能とスパイク形状の耐久性を向上させた。ベルト表面に硬質ポリウレタン樹脂を用い、円すい形のスパイク形状を一体成型することで高いグリップ性能を保有、スパイク形状においては優れた耐久性を発揮する。形状的にベルト洗浄の際に水分がたまりにくい構造であることに加え、液体の潜り込みを防止する裏面カバー付きの製品であることから、洗浄性にも優れている。

 ミスタークライマーは、搬送時のグリップ力(荷滑り防止力)の寿命を大幅に向上させ、ベルト交換頻度の低減、省スペース化、低騒音を実現させた。耐候性に優れた特殊ゴムカバーによりグリップ力の高い表面形状を維持、ベルトに汚れが付着しても、表面形状がグリップ力低減を最小限に抑える。突起物の千鳥配列と縦スジの意匠の組み合わせにより、耐汚染性と低騒音を実現している。

 これら3製品は、今年7月に開催された「FOOMA JAPAN2019(2019国際食品工業展)」でも展示の3本柱として来場者にアピールした。注目度は高く、昨年よりも数多くの来場者が同社のブースに詰め掛け、新製品に対する大きな関心を集めた。情報発信による効果は高く「ミスターウルトラミラーを例に挙げると、フッ素樹脂フィルムを使用しながら、小プーリに対応するという特長を新たな価値として認めてもらえている」(同)という。

 同社では今後も市場のニーズや〝お困り事〟に向き合った製品を開発、提供し続けることで一層の事業の発展を図る。