2019年12月25日

ランクセス
ブラジルのバイオサイドメーカー買収

世界最高レベルの造水性能保有

ランクセス(マティアス・ツァハトCEO)は本社をブラジルのサン・パウロ州ジャリヌに構えている大手バイオサイドメーカーであるItibanylプロダクト・エスペシアス社(以下、IPEL社)を買収することを発表した。

 両社は先月28日付けで買収に関する合意書に調印し、買収価格を公表しないことで合意している。事業譲渡は、関係各国の独占禁止法規制当局の承認を経て、2020年第1四半期までに完了する予定。ランクセスはIPEL社の約100人の従業員と製造設備に加え、研究施設を引き継ぐとともに、今回の買収によって戦略的に重要な中間体製品への参入の機会を得ることとなる。

 ランクセスの経営委員会メンバーであるレニェー・ファン・レッセル氏は「この買収は、利益性の高い特殊化学品に注力するランクセスの事業戦略に完全に合致している」とコメント。今回の買収によって、ランクセスの物質保護剤ビジネスユニットはグローバルのプレゼンスを強化するだけでなく、現地の製造拠点から南米の顧客にサービスを提供することができるようになる。現在、同ビジネスユニットは欧州、米国、アジアに製造拠点を有している。

 IPEL社の売上高は、塗料・コーティング業界向けのバイオサイドおよび特殊化学品が大半を占めている。バイオサイドは、微生物による汚染あるいは微生物が原因となる劣化や腐敗から物質を保護するだけでなく、最終製品の製品寿命を延長し、その機能を維持する。同社の製品ポートフォリオは水処理のプロセスコントロールにおける保存剤と防カビ剤、そして消毒剤および洗浄剤向けの有効成分を含む。

南アのクロム鉱石鉱山の保有株式を売却
 また同社は、南アフリカ・ルステンブルクのクロム鉱石鉱山の保有株式74%を、南アフリカのクロム鉱石粒子のサプライヤーであるクローバー・アロイ社に売却すると発表した。

 先月15日付けで売却に関する合意書に調印。株式譲渡は関係各国の独占禁止法規制当局の承認を経て、来年末までに完了する予定。鉱山の残りの株式26%は、従業員および複数の個人投資家で構成される少数株主のDIRLEM社が引き続き保有する。ランクセスは今年8月に既にクロム化学品事業を中国のブラザー・エンタープライズ社に売却することを発表している。鉱山から採掘されるクロム鉱石はフェロクロムや化学業界の原料や、半導体用途で使用されている。