2019年12月25日

ブリヂストン
タイヤの新センシング技術確立

路面接触時に計測
ひずみから荷重と摩耗状態

スマートストレインセンサー

ブリヂストン(津谷正明CEO)は、タイヤの内面に貼り付けたセンサーによって、走行時にタイヤが路面と接触したときに発生するひずみを計測することで、タイヤの荷重と摩耗状態を推定する技術を開発した。

 今回開発されたセンサー「スマートストレインセンサー」は、最新のIoT技術から生まれたもので、世界中の多くの車両に搭載されている一般的なTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)センサーの機能であるタイヤの空気圧や温度を把握するだけでなく、タイヤが路面に接触している部分のタイヤのひずみの測定を行う。そのひずみデータを独自のアルゴリズムによって荷重、摩耗の情報へ変換し、収集することが可能。従来の同社タイヤセンシング技術「CAIS」は加速度を計測する手法であるが、スマートストレインセンサーは、速度に依存しないタイヤのひずみを計測するため、極低速度域でも信頼性の高いデータを収集することを可能とするとともに、独自のアルゴリズムによって電力寿命の大幅な改善を実現した。

 タイヤが路面と接する区間では、縦軸にひずみ、横軸に時間の波形のデータが得られるこのデータはタイヤにかかる荷重や摩耗の状態によって異なるため、同社で従来より培われたタイヤ技術の知見とAIを活用した独自の解析手法によって、タイヤの摩耗状況やタイヤにかかっている荷重を推定することができる。これにより、顧客は“タイヤの溝が浅い”などのタイヤに関するさまざまな情報をリアルタイムで認知・把握することが可能となる。

 ドライバーや車両が安全に目的地へ到着するには、車両トラブルを未然に防ぐことが重要。今回開発されたセンサーを装着することで、タイヤの空気圧などの情報とともに、摩耗や荷重の状態をドライバーが認知することができ、また車両管理者が遠隔でリアルタイムにモニタリングすることも可能となる。その結果、適切なタイミングでのタイヤ交換が可能となり、タイヤメンテナンスの軽減やタイヤトラブルの未然防止が可能となることから、安全性の向上につながる。また、将来の自動運転社会における安全な走行制御への活用も期待できるとしている。