2020年2月5日

日本ゴム工業会
「第19回幹事会」開く

新ゴム消費量今年は減少と予測

日本ゴム工業会(池田育嗣会長)は1月24日、東京都千代田区の経団連会館において「第19回幹事会」を開催した。昨年の新ゴム消費見込みと今年の予想量が発表され、昨年は前年比0・8%増の134万3700㌧という3年連続の増加見込みを立てたが、今年は同0・6%減の133万5100㌧と予測し、昨年をわずかに下回ると読んだ。米中貿易摩擦による世界的な経済の減速や、国内における消費増税などマイナス要因はあったものの、昨年は企業の設備投資の増加や雇用・所得環境の改善などにより増加。今年はその流れが続くと見られるものの、環境の不透明さも手伝って微減と見通した。

開会に先立ってあいさつに立った池田会長は「昨年は巳亥(つちのとい)の年で、易でいうとあまり良い年ではないとされていた通り、世界経済が停滞する中で国内は自然災害が多発し、国民生活や事業活動に対して大きな影響が出た。国内ゴム製品生産については、米国の消費が堅調に推移したこともあり、新ゴム消費量ベースで3年連続の若干のプラスの見込みとなっている。しかしながら、内容を見るとベルトやホースなど前年を下回る製品もあり、これからも厳しい舵取りが求められる状況が続いている。今年は庚子の年。新たな芽吹きで繁栄する年ということで良い年になりそうな期待を抱いている。年初には米国とイランの緊張が高まるなど、世界情勢は不安定な状況が続いている。世界経済停滞の要因である米中関係については、少し改善の兆しがうかがえるが、今後の進展は北朝鮮問題を含めて不透明感が強く、英国のEU離脱の影響も見通せず、中国の武漢を発端としたコロナウイルスのまん延など予断を許さない状況が続いている。そのような中、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される。日本選手の活躍への期待はもちろんだが、この機会に多くの方に訪れて頂き、日本の良さを再認識してもらうことで活性化につながるいい期待もある。

ゴム産業を取り巻く環境については、顧客ニーズや用途は変化していくが、勝ち残っていくためには基本を見失わず、現在のモノづくりをしっかりと維持し、継承していくとともに、持てる技術や知恵を駆使して備えていく必要がある。ゴム業界の課題としては、国際的な環境問題やグローバルでの標準化への対応、公平公正な競争の維持、国内においては働き方改革への対応など、さまざまな形で山積している。当会としても求められる課題に対して真しに向かい合い、皆様と力を合わせて喜んで頂けるような活動を推進し、業界の発展に貢献していきたい」と今年の意気込みと工業会としての展望について述べた。

主要製品別の今年の新ゴム消費予想の内訳は、タイヤ類が前年比0・8%減の108万5280㌧、このうち自動車タイヤ・チューブが冬用タイヤの若干の減少により同0・8%減の107万430㌧、その他のタイヤ類がトラック・バス用更生タイヤの増加傾向で同1・9%増の1万4850㌧。工業用品類は同0・2%減の23万1270㌧。このうちゴムベルトは同5・6%減の1万8970㌧で、要因はコンベヤベルトが海外生産の増加で減少、伝動ベルトは半導体製造装置の市場回復で前年並みと予測した。ゴムホースは同1・6%減の3万4980㌧。要因としては自動車用ホースが自動車の国内生産減で減少、建設機械や工作機械用は後半の回復を見込んだ。パッキン類、ライニングなどその他の工業用品については、新型車投入効果などにより同0・7%増の17万7320㌧。その他製品類は同1・2%増の1万8550㌧で、内訳としてゴム履物は国産品人気などの要因で前年並みの1290㌧。医療衛生用品や運動競技用品など、その他のゴム製品は同1・3%増の1万7260㌧と予測した。

今回は付帯行事として令和元年秋の叙勲の受章者に対する祝賀の催しを実施。旭日双光章を受章した三ツ星ベルトの元代表取締役会長の西河紀男相談役(名誉会長)の栄誉をたたえ、池田会長より記念品が贈呈された。西河相談役は「本日はこのような場を設けて頂き大変感激している。私はゴム業界に入って今年でちょうど30年目を迎えた。当会においては役員も務めさせて頂いたが、皆様にお力添えを頂いたことで無事に務め上げることができた」と心からの感謝の気持ちを述べた。