2020年2月15日

ムーンスター
トップインタビュー2020

成長戦略のテーマ遂行
強み生かしたブランディング展開

【昨年を振り返って】
上半期(2019年7~12月)の状況については、消費者の節約志向が依然として根強く、消費動向の変化などといった厳しい市況の影響により、売上高は当初計画に対して未達となった。下半期においては戦略のテーマを堅持しながら、売り上げ確保に努めることで、通期での事業計画の達成を目指す。

【子ども靴の現状と今後の販売戦略について】
ベビーキッズ商品群は、昨年に引き続き好調に推移しており、特に「MOONSTAR」が好調に推移している。このブランドは、〝子どもの健康機能靴〟をコンセプトに置いた、当社のモノづくりへのこだわりが支持されている。今後は引き続きゲンキ・キッズでの取り組みを強化するとともに、さらに海外販売の強化も推進する。「メイドインジャパン」と「Hi‼」については、日本製としての安心や信頼、充実した機能性により人気が高く、海外でも同様の評価で拡大している。世界観をビジュアルにまとめたリーフレットの作成や、インスタグラムなどといったSNSでの発信による訴求も強めていく。「キャロット」は、引き続き量販店や専門店を中心に強化を図る。親子の日常を背景に、子どもが見ても楽しくなるようなデザイン性を持たせた商品を展開することで、生活シーンに密着した機能性を肌で感じ取って頂けるよう構成する。販促面では〝6カ月品質保証〟を訴求し、当社の子ども靴の安全性と信頼をフックにファンの拡大を図る。

「スーパースター」においては、当社の技術力を駆使した〝速く走る〟というテーマを徹底的に追求したスポーツテーストの「究極(アルティメイター)」シリーズが好調に推移している。スーパースターでは昨年、バネのチカラが10周年を迎えたことから、スーパースターを速く走るための靴としてバネのチカラをアイコン化、さらには〝前に跳べ〟をキャッチフレーズに、商品と店頭装飾の両面から再訴求を実施した。国内登録者ナンバーワン・ユーチューバーの〝はじめしゃちょー〟とのタイアップを行い、店頭とウェブが連動したプロモーションを行い、さらなる認知拡大と拡売を推進する。

【ライフスタイルのカテゴリーについては】
〝MADE IN KURUME〟商品群を中心に、各地区や店舗でのポップ・アップ・ショップやイベントを開催し、ムーンスターブランドの認知度向上、ファンの獲得へとつながっている。親和性を持ったブランドとのコラボレーションも展開しながら、話題づくりと丁寧なモノづくりを継続していく。

【そのほかの主力ブランドの現状と展望は】
「ワールドマーチ」については、日常生活のシーンに寄り添った「ファンウォーキング」シリーズが好調に推移しており、前年比、計画比ともにクリアする見通しにある。今後は、国産品の拡大を視野に入れたオリジナリティあふれる商品の開発を推進する。「バランスワークス」については、商品ラインアップの拡充とともに実績は好調に推移している。今後は、市場でのブランド認知拡大をねらった販促施策を実施していくとともに、コーナー施工店舗を増やし、消費者との接点増を図る。「スポルス」については、〝イタミ0プロジェクト〟を推進しており、ガーメントレザーを用いた国産高付加価値商品と、シープレザーを採用した外反母趾対策商品を二本柱に据えて展開する。素材の柔らかさ、履き心地の良さから固定客をつかんで健闘しており、中でもスニーカーを婦人コンフォートにうまく落とし込んだ商品が好調で、フリーアナウンサーの三雲孝枝さんを起用した販促も好評に受け入れられている。「イブ」については、昨年に引き続き、テキスタイルコンビ商品を加えた定番である〝やわらかさ〓1宣言〟シリーズが好調に推移しており、〝足、開放!外反母趾を考えた靴〟も堅調であることから、新たに若々しいカジュアルタイプを追加した。〝外反母趾におすすめの靴〟などといった消費者の悩みに寄り添った商品をムーンスターの婦人靴全体の包括的な提案として力を入れていく。sugata(スガタ)については、デビューから現在までの売り上げは微増で推移している。新たにプレミアムラインを発売し、これまで取り込めなかった購買層に向けて国産の天然皮革仕様のパンプスを提案する。

【店舗展開の現状と今後の展望について】
旗艦店「ムーンスターファクトリーギンザ」は、子どもから大人までの日本製を中心としたムーンスターブランドで展開する商品を販売しており、インバウンド需要も視野に入れながら、ブランドの世界観ならびに足や靴に関する情報などといった国内外への情報発信基地としての役割を果たす。販売についてはMADE・IN・KURUMEの商品を中心とした構成を行っており、当社独自の機能性を搭載した商品であるスガタやバランスワークスは、指名買いやリピーターとなる顧客を生んでいる。「ゲンキ・キッズ」については、先月の時点で計64店舗を展開している。消費者のリピート率も非常に高く、今後も引き続き大都市圏での出店を中心に進めていく。

【海外事業については】
米国では、子ども靴の「TSUKIHOSHI」ブランドのネット販売を開始しており、従来の卸売の販路に加えて今後はBトゥCへの取り組みを本格化させる。店舗販売については、専門店は堅調に推移しており、ネット大手に関しても各社の政策にもよるもののおおむね堅調に推移している。ライフスタイル商品に関してはアメリカにおける主要都市の優良小売店とのPOP―UP展開を実施しており、展示会への出展による取引店舗開拓と合わせて積極的な認知度向上を図っている。EUにおいては、ライフスタイル商品をフランスやイタリアで開かれた展示会に出展し、現地の代理店とも連携しながら取引店舗の開拓を図っている。ロンドンでは複数店舗でPOP―UPを展開しており、ブランド認知度の向上を図っている。中国においては、子ども靴を主体に展開しており、アリババのT―MALLを中心としたECサイトでの売上比率が増してきている。東アジアの台湾については、現地向け特注品の開発を含めた積極的な取り組みによって販売も増加傾向にあり、今後も代理店とのコミニュケーションを密にしながら取り組みを進める。

【今後のテーマについて】
2020年6月期における基本方針としては、モノづくり企業としての強みを生かしたブランディングを展開し、成長戦略につながる基盤を構築するとともに、既存分野での存在感を高め、経営の確実性と安定性をさらに強化する。重点施策としては、成長戦略のテーマを遂行し、ライフスタイル商品によるブランディングの強化、既存分野を中心とした収益力の強化を図る。加えて、国内生産の増産を実施するとともに採算の改善を図る。