【ホース・チューブ・継手特集】
ユーシー産業
「NDH」シリーズ
新製品を3月16日に発売
ユーシー産業の2019年12月期の決算概要は、前の期(18年3月期)に気候要因による大きな需要がもたらされたことから、前期はその上昇分だけ減収となった。空調機器分野の新規製品の立ち上げ予定など、売り上げ面での増収要因に期待を向けた一面もあったが、その案件も今期にずれ込んだことで、前期実績の売り上げには届かなかった。収益面では、前の期の18年度に原材料、搬送費、人件費の高騰による大きな収益圧迫要因を解消する目的から価格改定に踏み切った。その成果が昨年実績に流れたことで、昨年度はコスト圧迫要因が緩和。生産性の向上に努めた自助努力も奏功し、収益面は前年同期を上回り、前期は減収増益で着地した。
税引き後の利益の見通しは前期比160%を見込んでおり「生産現場で取り組んできた努力が実を結んだものであり、それぞれの思いが業績に反映されることでモチベーションも上がる。難局に立たされたときこそ、ポテンシャルを発揮できるチャンスであり、企業だけでなく自らも豊かさを追求できるきっかけとなる」(永𠮷昭二社長)。
同社では中国工場を閉鎖し、現地の協力工場から部分的に商品の供給を受けているものの、国内における鳥取工場での生産が供給体制の基本。同社が手掛ける主力製品にあって、象徴的なブランド製品である空調工事向け断熱ドレンホース「NDH」シリーズも国産化しており、大幅な仕様変更を施したことでスペックアップを図った新製品を3月16日から発売した。110万㍍の販売実績を誇る同社の主力商品であり、新タイプは①外管フラット性が高められており、スリーブ通過性、テープ巻きの作業性も向上。補強線をポリプロピレン(PP)から硬質塩ビ(PVC)に変更したことで、ホース端面の補強芯線の飛び出しがないことから、部品接着時での巻き込みを防ぎ、作業性も高められている。また、内面平滑性も向上し、ゴミだまり量を低減する。断熱性は従来タイプと同じレベル。
昨年11月には施工性を高めた新たな断熱ドレンホースNDH型用接続パーツ「VP管同径・異径ジョイント」を市場に投入しており、市場からの評価も高い。今回のNDH型の新タイプの展開による相乗効果にも期待を寄せており、いずれも拡販に力を注ぐ。
建築・建設向けフリーパイプ「エバフリー」シリーズに関しても、これまでは数本、数十本単位での受注が目立っていたが、最近になって商品の認知度が高まるに伴い、屋外用の「エバフリーBFP」、埋設用の「同CFP」ともに100本単位での受注が増加。品質への信頼度が、採用事例を広げる裏付けであり、同社としては、関連の展示会のほか、ゼネコンや自治体へのアピールといった取り組みにも積極的に進めていく。
今期(20年12月期)については、前期から導入が始まっているキッチンメーカー向け排水ホースが今期から本格的に動き出すほか、空調機器メーカー向けに新たに立ち上がったホースについても、今期の売り上げへの上乗せに期待が寄せられている。今後の展望としても、日本製という付加価値が徐々に信頼度を発揮してくるものと見込んでおり、安定供給という利点も手伝って、BCPの観点からも価値が見いだされてくる。オール・メード・イン・ジャパンで取り組むことで、ハイエンド品を求める完成品メーカーを取り込むとともに、中国で生産していたメーカーにおいても増産するタイミングにおいて、信頼性に裏打ちされた日本製のクオリティーは大きな強みとなる。「こうした環境を創出することで業績面での環境も整いつつあることから、今期は増収増益を見込んでいる」(同)。