2020年3月25日

【ホース・チューブ・継手特集】
クラレプラスチックス
クラファインダクト

生産能力増強を決定

クラレプラスチックスのホース事業における2019年12月期の実績は、売上高が前年度比微増となったものの、利益は微減で着地した。売上高の増加に対して利益は、物流費の上昇だけでなく、働き方改革に伴う業務の見直しで人手不足が一層加速したことによる人件費の高騰も影響して伸び悩んだ。対策としては、自動化や設備レイアウトの変更など、効率化を一段と加速して生産性を高めることが必須だ。同社は働き方改革も、メーカーにとってのステップアップの機会として認識。〝作業内容の見直し〟〝スキルの強化〟といった従業員にとっての成長のチャンスとしてもとらえており「工場では、生産に不可欠なコアな工程ともっと合理化できる業務が混在している。だれにでも操作できるシステムを導入するなどの合理化を一層進めることで、コアな工程に注力し、新しい発想や、やり方で対応していく」(ゴム・化成品事業部・野村昌司事業部長)。

同社の製品においては、エネルギーマネジメントの概念を住宅建築に採り入れたスマートハウスと呼ばれる戸建て住宅に使用される、高断熱性の空調換気ダクト「クラファインダクト」が伸びを見せている。脱グラスウールのポリエステル製で、施工性に優れており品質優位性が高い。政府による〝2020年の省エネ基準適合住宅の義務化〟が強制力を持って進められている状況にあって、今後はそれを満たす建築物としてスマートハウスが増加するものと予測されている。同社では、製品としての性能をさまざまな状況下において数値化できる試験設備を備えている強みがあり、他社製品と性能の違いを可視化。施工性の良さも評価の高さの一端を成しており、今後は大手の住宅メーカーだけでなく、地域の工務店などでの採用に向けて一段と力を入れる。今後も需要の伸びが見込まれることから、同社では生産能力の増強を決定。7月から新しいラインを稼働させることで、今後の需要増に対応していく。

樹脂と繊維を複合化させた複合ホース「ネオ・ホーマー」シリーズの「ネオ・ホーマーCF(クリーンフレキ)」の改良版も開発。現在はフィールドテストを行っている状況で、販売時期は未定ながら、同社では「今年の下期中には販売にこぎつけたい」(同)としている。

アスファルト用導水管「クラドレン」については、道路の新設や改修によってこれまでも数多くの実績を重ねており、安定した需要を獲得。首都高速道路や阪神高速道路などにおける定期的な更新・修繕にも使用されているほか、全国各地の高速道路の大規模更新・修繕事業に引き続き採用されている。コンクリート用導水管の「クラドリップ」は、他社では追随できない同社独自の技術を駆使して開発されたオンリーワン商品で、コンクリートの導水を必要とする幅広い用途で活躍。地下鉄やトンネルの水抜きで重要な役割を果たしている。国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS(ニュー・テクノロジー・インフォーメーション・システム)」登録技術として認定されており、同社では「リニアモーターカーの開通に向けたトンネル工事で引き続き伸びが期待できる」(同)としている。

海外に向けては、新たに「海外事業推進部」を新設。同社のホース事業の売上高に占める割合として、今後は10%程度まで引き上げる目標を掲げて取り組んでいく。