2020年3月25日

【ホース・チューブ・継手特集】
タイガースポリマー
タイレックス

地中埋設管 「タイレックス」
新展開に向けた案件模索

タイガースポリマーが手掛けるホース事業の2020年3月期における業績の見通しは、売り上げ面については若干の弱含みの感が漂うものの、ほぼ前年並みの数値を見込んでいる。新型コロナウイルスによる影響については、今後の見通しが不透明であることから、各需要業界の様子を慎重に見極めながら対応を図っていく。

同社では、前期から不採算に陥っている製品の見直しを実施。そのため、売上高の表面的な実績としては計画通りには推移しなかった。しかしながら名目上の売上高よりも採算性を重視した施策であり、今後の成果が注目される。そうした努力を積み重ねる一方で、最近の販管費における上昇は継続。運搬費や人件費の高騰によって収益面が圧迫され、政府主導による〝働き方改革〟への対応にも則った業務体制を構築する必要に迫られており、同社としてもメーカーとしての節目を迎えている。「確かに、人件費と人手不足の問題は、モノづくりに携わるメーカーにとって大きな課題となっているが、人材は企業にとっての根幹でもあり、今後も知恵を絞ってこうした難局を乗り切っていきたい」(渡邊剛営業部長)。

一般的なメソッドしては自動化や多能工従業員の育成などが挙げられるが、それらを統括する役割を含め、モチベーションを管理する上でも人間としての能力は不可欠。「営業はどうしてもヒトの力に頼らざるを得ない。特に弊社はホース以外の商材をたくさん扱っており、多能工的な営業力が必要になるので、人材育成という取り組みに力を注ぐ。働き方改革のルールを順守しながら個人の能力を高めることで人手不足は補えるだろう」(同)。イレギュラーで特需が舞い込んだ場合でも、多能工的な営業が活躍できる職場づくりによって、顧客への迷惑や商機の逸失の回避につなげる。企業が成長を果たすための重要なコミットメントとも言えるだろう。

同社では、太陽光発電や風力発電など持続可能な環境エネルギー分野においては、おおむね好調に推移。地中埋設管の「タイレックス」や「スリットタイレックス」が、ニーズに沿った商品として動きを見せている。今後に向けては、インフラ関連を主題とした新たな展開に向けた案件を模索。同社としては担当者が自ら現場に赴き、ニーズをち密に吸い上げた上で、独自の技術やノウハウを発揮することによって新たな事業の案件を芽吹かせる。

同社ではユーザーの多様なニーズにち密に対応しながら、信頼性と実績を積み重ね、課題解決や効率化に貢献することでこれまでも業績に結び付けてきた。既存製品では耐摩耗・耐圧・静電気帯電防止機能を備えたデリバリーホース「タイパワーホースWSU型」が高い評価を得ていたが、顧客からの「搬送物に廃油が混入しており、油に強い同様のホースがほしい」といった現場のニーズに対応。耐久性に加え耐油性を兼ね備えた「タイパワーホース耐油WS型」を開発、上市し、顧客の課題を解消した。このほかケーブル保護管についても、現場での取り回し性が評価された「タイレックス」に加え、さらにスリット加工を施したことで開管を可能にした「スリットタイレックス」をラインアップに追加するなど、メーカーとしてのフットワークは軽い。最近では長尺管を一人でも取り扱えるようなサイズに見直す要望など、人手不足などを背景に、時代を反映した流れも商品開発につなげていく。

今期については、コスト面など市場を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続くと予測。半導体製造業や建設機械分野など需要業界の景況感の見通しも難しさを増している。業績としては前期を上回る目標を立てており、計画値も強気に設定。激甚災害による被害の減災を背景とした、地中電線化に向けた地中埋設管の動きもあり、公共事業としての予算の問題もあることから、情報獲得に向けたアンテナを常に回しながら、新たな展開を取り込む努力は決して惜しまない。