2020年4月5日

住友ゴム
新中期計画を発表

グローバル体制の成果を最大化
企業としてさらなる高みへ

住友ゴム工業(山本悟社長)は2025年を着地年度とする「新中期計画」を発表した。同社では18年度に5カ年の中期経営計画を策定したが、世界情勢の変化や自動車を中心とした技術的環境の変化などを踏まえ、当初の計画の見直しを決定。直近の経営計画として20年をマイルストーンとした長期ビジョン「VISION2020」を立ち上げ、今年2月を目標に新中期計画の策定に着手していた。

25年までに目指す姿としては、成長力として売上収益1兆円以上、収益力として事業利益1000億円以上の体力を備えた企業に鍛え上げる。投下資本収益力としてROE10%、財務健全性の目標指標としてD/Eレシオを0・5以下と定めた。経営基盤強化の全社プロジェクトとして〝Be The Change〟を引き続き掲げ、企業の経済力・社会的価値をさらに高みに持っていく。価値を高めるバリュードライバーとして、高機能商品の開発・増販、新たな価値の創出、ESG経営の推進を実行し、組織体質の強化と利益創出の活動を活発化させる。VISION2020までで培ってきた新市場への挑戦や新分野の創出といったグローバル体制強化による成果を最大限に発揮させ、利益創出の基盤づくりに努める。

バリュードライバーごとの詳細戦略は、販売においては高機能タイヤをグローバルに増販。プレミアムカーへの新車装着の拡大、欧米・アジアなどの重点市場で業界以上の伸びを目指す。高機能タイヤの販売計画として、本数ベースにおいて19年度比で25年度には150%にまで引き上げる。開発に向けては日米欧のテクニカルセンターを活用し、ダントツ技術を進化。市場ニーズ、高まる要求性能に対応する新商品の開発に力を注ぐ。日本においては低燃費性能、静粛性能などを軸に高性能化を図り、米国ではライフ性能、走破性を重視、欧州においては高速操縦安定性能、ウエット性能に軸足を置いた性能の進化に努める。生産面では、高機能タイヤの生産能力を増強。米国・南アフリカ工場の生産安定化を図り、米国・トルコ工場で高機能タイヤを中心に増産を図る。日本・アジアの工場では高機能タイヤの生産能力増強に一段と力を入れる。スマートファクトリー実現に向けた新生産システム構想を推進し、AIやIoTなどデジタル技術、設備の自動化を推進。高品質、高効率、低環境負荷、省人化といった生産現場のさまざまな課題に対応する。

スポーツ事業においてはグローバルでスポーツ事業を拡大。ゴルフは世界最大市場である北米においてボール・クラブの拡販を図り、テニスを中心としたラケットスポーツ事業の拡大も図る。医療用精密ゴム部品事業については、医薬品の主要市場である欧州に本拠地を移転、欧州の大手製薬会社への販売とアプローチを強化する。高機能商品の拡販を行うとともに、スイスのスロベニア工場の積極的な活用も推進する。

事業の核となるタイヤ事業の計画内の展望としては、新しいモビリティ社会がタイヤに求める価値を創出し、タイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプト〝スマート・タイヤ・コンセプト〟をベースに、センシングコア・性能持続技術によって自動運転に対応するスマートタイヤ、社外との協業も視野に入れながら空気圧監視サービス、メンテナンスサポートサービスを推進し、安全・安心なソリューションを提供できるタイヤの創出を行う。低燃費技術、原材料の天然資源化を推し進めることで、環境負荷の低いタイヤ開発を推進。ライフサイクルアセスメントの考え方を織り込んだタイヤの開発を進める。

SDGs経営の推進に力を注ぎ、経済的・社会的価値向上への取り組みによって持続可能な社会の実現に向けたSDGs達成への貢献を果たす。事業活動を通じたSDGs達成への取り組みを推進することによって〝世界を支えるための17の目標〟に向け、サステナブルなデベロップメントへのゴールに貢献する。