2020年4月5日

アシックス
最新のシューズ3種類を作製

メタレーサーなど
同社初の試みVRでプレゼン

アシックス(廣田康人社長)は、アシックス史上で最も先進的なランニングシューズとして「メタレーサー」、より高くジャンプできるよう設計されたバレーボールシューズ「メタライズ」、スパイクピンを使わない陸上スプリントシューズ「メタスプリント」を作製した。メーンカラーはすべて、朝日が昇る力強さをイメージした鮮やかな“サンライズレッド”で、“希望・情熱・献身”という意味が込められている。

メタレーサーは、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートする工夫を込めて設計。同社史上で最も先進的なランニングシューズで、独自の技術によって走行時のエネルギー消費を抑えながら効率的に足を前に運ぶ“ガイドソール”テクノロジーと、ランナーが安定して効率良く走り続けられるよう、同社としては初使用となるカーボンプレートを組み合わせ、ミッドソールを構成している。シューズ前部をカーブ形状にしたガイドソールテクノロジーにより、着地時の足首周りの負担を約20%削減することで、ランニング効率を向上させた。シューズ内の温度、湿度の上昇を抑えることで、身体の状態をより改善できる状況に着目。アッパーは、軽量素材を使用した“エンジニアードメッシュ”を採用し、シューズの中に空気が流れ込みやすく、排出しやすいよう独自の設計を施している。その優れた通気性により快適さが向上した。ミッドソールの“フライトフォーム”テクノロジーは、軽量で優れたクッションを実現し、より快適なランニング体験を提供する。靴底に採用した“アシックス・グリップ”と“ウェット・グリップラバー・スポンジ”が優れたグリップ力を発揮し、濡れた路面でも接地からつま先が離れるまで、ランナーの足をしっかりとサポートする。

メタライズはより高くジャンプできるよう設計。“フライトフォームプロペル”を使ったミッドソールと、“ライズトラス”テクノロジーによる翼型のミッドフット・サポートを組み合わせた。かかと部をカーブ形状にすることで、プレイヤーのジャンプがしやすくなり、アシックススポーツ工学研究所による実験では、平均で約3%高くジャンプできることが認められている。これはプレイヤーにとっては約2㌢に相当する。

陸上短距離の桐生祥秀選手着用モデルのメタスプリントは、これまでのスプリンターがスパイクピンによってけん引力を得ていた動作に着目。スパイクピンがトラックに刺さって抜ける時間、スパイクシューズとトラックの接地時間を短縮することに目を付け、スプリンターの一歩ごとのエネルギーロスを減らしながら、推進力を高めた。独自のハニカム構造のピンレスカーボンプレートを採用しており、スプリンターは一歩一歩、トラックから高い推進力を取得。スパイクピンを取り払うことで、より軽量化が図られた。“ストレッチHL―0メッシュ”アッパーは、つま先の自然な動きに順応するよう設計され、快適なフィット感を実現。かかと周りの“ダイナラップ”テクノロジーと、ミッドソールから土踏まずまでを覆うサポートパネルが連動し、足を適切に固定、安定性を高めた。同研究所による実験では、同社陸上短距離用スパイクシューズと比較して、1秒当たり6・7㌢前に進むことができることが認められた。これは、100㍍換算で0・048秒を優位に走行できることに相当する。

メタレーサーとメタスプリントは、4月17日から一部で先行発売を行い、メタライズは6月12日からアシックス直営店、アシックスオンラインストア、スポーツ用品店で一般発売を開始する。価格(税別)はメタレーサーとメタライズはともに2万円。メタスプリントは3万6000円。

今回の最新シューズ3種類のプレゼンテーションは、同社初となるバーチャルリアリティ(VR)技術を使用。技術、製品、サービスにおける研究開発の拠点であるアシックススポーツ工学研究所を“バーチャルイノベーションラボ”として仮想現実上に再現して実施した。バーチャルイノベーションラボはユーチューブサイト(https://youtu.be/82UcThJz2-U)で一般公開されており、各シューズの機能を疑似的に体験することができる。 

同社執行役員兼アシックススポーツ工学研究所の原野健一所長は「今回発表した3種類の最新シューズは、アスリートのパフォーマンスを向上させると同時に、競技中のアスリートの足や身体を守るという当社の姿勢を体現している」と、その開発コンセプトの一端について述べた。