2020年4月25日

【ホース・チューブ・継手特集②】
ユーシー産業・メーカートップインタビュー

NDHも性能向上、関連品に期待

【前期(2019年12月期)を振り返って】
売上高については、一般消費財向けの商材が18年度に特需として舞い込んだことから、前年度の売上高が、例年よりも高い水準で推移したことで、前期の売上高は前期比98・3%と前年水準を下回った。空調機器メーカー向けに立ち上げた新製品が、一年遅れとなって今年にずれ込んだこともマイナス要因となっており、キッチンメーカー向けの排水ホースの納入開始や、空調工事関連の拡販による増収要因はあったものの、前期を上回る結果を残すことはできなかった。収益面に関しては材料費や運賃、人件費などコストの大幅増に見舞われたが、前年度で値上げに踏み切ったほか、社内における生産性改善活動が成果を上げた結果、収益性が健全化したことで、増益を達成した。税引き後利益は前期比160%となっており、全社一丸となって増収体質の構築に取り組んだ成果が実った。

【中国の生産からの撤退状況について】
国内の鳥取工場に生産を移管し、国産化へとシフトした現状を各方面にアピールしている。当社が手掛ける主力製品にあって、象徴的なブランド製品である空調工事向け断熱ドレンホース「NDH」シリーズも国産化しており、大幅な仕様変更を施したことでスペックアップを図った新製品を3月16日から発売した。100万㍍以上の販売実績を誇る当社の主力商品であり、新タイプは外管フラット性が高められており、スリーブ通過性、テープ巻きの作業性も向上させている。補強線をポリプロピレン(PP)から硬質塩ビ(PVC)に変更したことで、ホース端面の補強芯線の飛び出しがないことから、部品接着時での巻き込みを防ぎ、作業性も高めている。また内面平滑性も向上し、ゴミだまり量を低減する。断熱性は従来タイプと同じレベルを維持している。

【国産化による効果としては】
当社としては、人材を含めて生産体制を柔軟に組み替えることが可能となったことで、急激な受注の増加に対しても迅速に対応できる。オール・メード・イン・ジャパンという信頼性がある上、日本で生産しているメーカーが大きく増産に踏み切り、短期間で大量の部品の受注増に迫られた状況に置かれたとしても、生産体制に柔軟性があり、日本製品であるという強みもあって受注先に選定される可能性は高まる。

【国内での事業展開について】
3月に国産化してアップグレードした断熱ドレンホース・NDHシリーズの発売に加えて、昨年11月には施工性を高めた新たな断熱ドレンホースNDH型用接続パーツ「VP管同径・異径ジョイント」を市場に投入しており、市場からも高い評価を頂いている。今回のNDH型の新タイプの展開による相乗効果にも期待を寄せており、いずれの拡販にも力を注ぐ。建築・建設向けフリーパイプ「エバフリー」シリーズに関しても、これまでは数本、数十本単位での受注が目立っていたが、最近になって商品の認知度が高まるに伴い、屋外用の「エバフリーBFP」、埋設用の「同CFP」ともに100本単位での受注が増加している。品質への信頼度が、採用事例を広げる裏付けであり、当社としては、関連の展示会で積極的に知名度を上げていくほか、ゼネコンや自治体へのアピールといった直接的な取り組みにも積極的に進めていく。

【今後の課題について】
キッチンメーカー向けの排水ホースの導入先が大幅に増加しており、そうした市場における当社製品の占有率が高まっている。その一方で新住宅着工件数は18年の95万戸をピークに減少傾向にあり、この流れが当面は続くものと予想されている。この流れが当社製品に与える影響力は顕著であり、特定分野に販売を大きく依存するのではなく、当社製品の社内販売構成比率を分散させる必要があると考えている。今期は売上高の増加を見込んでおり、特定ユーザー向けの断熱材付きホースの採用機種増加によって、生産数量で前期比12%増を見込んでいる。空調機器メーカー向けホースの新たな案件の立ち上げが19年度末より始まっていることも売り上げに貢献する。空調材料市場向け商品の新たな採用や、新規ユーザーとの契約開始に加え、拡販活動の成果による売り上げ増も期待でき、各分野において着実に市場を広げている。好調を極めているキッチンメーカー向け排水ホースについても、昨年度から一部で納入が始まっていた受注量が19年度末にかけて一段と増加しており、20年度当初からは、目標としていたユーザーのほぼすべてから受注を受けるという念願を達成した。建築・建設用フリーパイプについても、昨年度も一昨年に続いて福島タンクヤードから100本単位での受注を受けるなど、各分野に力を注いだ結果としての好調さを発揮している。今期(20年12月期)の売上高予想は、増収案件が今期に浮上している状況にあって、収益率も高まっていることから増収増益を見込んでいる。