2020年5月30日

バルカー
長期経営目標を設定

新中計策定も詳細の公表見送り

バルカー(本坊吉博社長)は、創業100周年を迎える2027年3月期に向けた長期経営目標をこのほど設定した。

同社は1927年1月に前身である日本ブレーキライニング製作所の創業来、製品開発、事業展開、海外進出などあらゆる面への挑戦を続けることで、社名の由来ともなっている〝価値(VALUE)と品質(QUALITY)〟を創造し、社会の発展と人々の豊かな暮らしの実現に貢献してきた。その同社が創業100周年を展望する時期を迎えるにあたり、社員一人ひとりが改めてこの開拓者精神に立ち未知の領域を切り開いていく必要があると考え、27年3月期におけるありたい企業像と達成を目指す長期経営目標を設定した。

創業100周年(27年)のありたい企業像は「未来と未知に挑むチャレンジングな企業―人類の豊かさと地球環境に貢献するために―」で、①あくなき成長戦略の追求とモニタリング②成長をゆるぎないものにする経営基盤の強化③より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」への積極的な取り組みを推進していく。数値的な経営目標としてはチャレンジなくしては到達し得ない高い水準の目標を設定。新事業・新分野への意欲的な展開、M&A・提携の積極的な実施、資本効率と財務健全性との最適バランスの追求、SDGsを強く意識した企業活動の実践により、27年3月期に連結売上高800億円、連結ROE15%を目指す。連結売上高800億円は20年3月期実績482億円の約1・7倍の水準となるが、社員一人ひとりが未来と未知に挑むチャレンジングな企業にふさわしいフロンティア・スピリットを発揮し、従来の発想と手法の殻を破った挑戦による価値創造を成し遂げることによって達成は可能なものと同社では考えている。

また同社は19年3月期を開始期とし、21年3月期を終了期とする3か年中期経営計画「New Valqua Stage8」(以下、NV・S8)を遂行していたが、新たな体制による経営戦略およびそれに基づく施策の実効性を速やかに高める必要があると判断し、中期経営計画を大幅に見直すことを決定、NV・S8の終了期を一年切り上げ、20年3月期とすることを今年1月に発表していた通り、21年3月期~23年3月期までの新たな3か年中期経営計画「New Frontier2022」(以下、NF2022)を策定し、スタートさせている。

NF2022は長期経営目標を達成するために不可欠な新たな事業領域への展開、すなわち新天地=New Frontierの獲得への挑戦を強く意識した計画として策定。前中計NV・S8における一部の戦略を進化の上継続し、NF2022ではチャレンジによる成功例を積み上げる。

NF2022の基本方針は「創業100周年を超えて次の時代にさらなる健全で持続的な成長を実現するために『THE VALQUA WAY』のもとグループ一丸となり大胆でダイナミックな事業基盤を再構築しよう」で、その概要は選択と集中による既存事業領域の収益拡大と新規事業領域の獲得では成長市場向け戦略への集中投資の実行、H&Sコンセプトの浸透による新たな事業機会の獲得を。オープンイノベーションの強力な実行(提携・M&A等の加速)においては従来の視点にとらわれない新分野・新商材開発力の強化を図る。大胆な投資(研究開発と人材育成)の加速についてはR&Dの拡充と社員一人ひとりの〝人財化〟による価値創造力の向上を図り、ITの徹底活用による全部門の効率化と顧客サービスの追求では新基幹システムによる業務品質と新生産技術による製品品質の向上を目指す。グローバル人材の活性につながるダイナミックな施策の実行ではグループ経営陣の多国籍化などのボーダレス人事を推し進める。

しかし、新型コロナウイルス感染症が足元の事業環境に与えている影響は大きく、かつ収束が見通せない状況であることから、現時点ではNF2022で定めた諸戦略の実行を進める一方で、その詳細の公表を見送り、環境変化への対応策を含めて改めて公表される予定となっている。

同社は新型コロナウイルス感染症の収束が見通せるまでの間、あらゆる面の効率化を推進するとともに「ポストCOVID―19」を展望した施策(①BCPのさらなる強化=地政学的リスク・天災等への耐性を再検証し、サプライチェーンの再設計と整備を推進②持続的な生産性の向上=将来に向けてリモートワーク等のノウハウを蓄積、基幹システムの刷新を加速③戦略市場への取り組みの拡充=先端産業市場に向けた体制の整備を継続し、追加施策も実行④R&Dの強化と協業の促進=製品開発の強化・新規事業の迅速な立ち上げに向けたオープンイノベーションを積極的に実施)を実行しながら、効率性の徹底的な追求と将来におけるスピーディーかつダイナミックな事業展開に向けた整備を行っていく。