【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】バンドー化学
イージーリリースNeo
物流、食品分野の動向に注視
非付着性能大幅向上
バンドー化学の2020年3月期の搬送ベルト事業の動向については、ゴムコンベヤベルトが前年比で1ケタの増収となった。特に上期は鉄鋼関連向けなどが堅調に推移したが、下期以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中国やアジアの自動車生産台数が減少するなど市場環境は厳しくなった。樹脂コンベヤベルトについては、食品や物流分野を中心に底堅い動きを示し、ほぼ前年並みで推移した。
同社の主力であるベルト分野の事業戦略としては、市場を細分化した上でターゲットを定め、そこでトップの地位を獲得。そこから、すそ野を広げていく展開を基本的な戦略としている。ゴムコンベヤベルトでは、一般的にベルトの表面に運搬物が付着する問題があり、現場ではベルトクリーナなどによるかき取りを実施している。しかし、付着物が適正な位置でリリースされないことで、コンベヤシステム周辺に落下・たい積する問題が数多く発生していたと言う。同社は、この問題を解決する目的から、非付着性能を大幅に向上させ、ベルトクリーナなどで容易にリリースできるようにした新製品として「イージーリリースNeo」を今年4月に発売。お客様の困り事の解決に役立つベルトとして期待している。一方、食品と物流分野を中心に展開している樹脂コンベヤベルトでは「ミスターシリーズ」の新しいラインアップとして、食品分野向けの「ミスターウルトミラー」「ミスタースパイク」「ミスターNスティック」、物流市場向け傾斜搬送用の「ミスタークライマー」などを昨年から相次いで市場に投入、これらの展開を契機にした需要喚起を行っている。
今後の見通しについては新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、不透明ながらも食品メーカーの工場の稼働率が高い水準を維持することで、ベルトの交換需要も期待できる。また、物流分野についても、ECサイトによる通信販売の普及が進み、物流倉庫が新設されたことで物流機器の需要が増加。日本での物流機器向け樹脂コンベヤベルトの販売増につながっており、今後も通信販売の利用率
が高水準で継続することで、引き続きベルトの交換需要について期待している。
中止になった「FOOMA JAPAN2020大阪(国際食品工業展)」に対しては、同社としては「大規模な展示会が中止となったことは非常に残念だが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためには必要な措置」と認識。主催者である日本食品機械工業会では、その代替として公式ウェブサイトにおいて出展を予定していた出展社の製品・サービスを紹介する企画を準備中。同社が出展を予定していた製品は「ミスターNスティック」「ミスターウルトラミラー」「バンコランロングシンクロベルト」「ボルタベルト」などで、〝安心・安全〟を軸に〝洗浄性〟〝異物混入防止〟〝世界規格対応〟をコンセプトに、お客様の困り事を解決する展示が見どころだった。
同社としては、近年販売を開始した「ミスターシリーズ」の新しいラインアップなどの特長を幅広く理解してもらうための方法として、ホームページを活用するなど、積極的な情報発信を行っていく考えだ。