2020年7月15日

ブリヂストン
「中長期事業戦略構想」発表

20年”第三の創業”と位置付け
新たな企業体へ進化

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は7月8日、「中長期事業戦略構想」に関する説明会をオンライン配信によって行った。2020年を〝第三の創業(ブリヂストン3・0)〟とし、新たな企業体としてグローバルにおける事業体制や戦略を示したもので、〝タイヤ・ゴム事業〟と、〝ブリヂストンT&DPaaS〟推進の本格化によって〝ソリューション事業〟を企業のコアコンピタンスとして育て上げ、サステナブルなソリューションカンパニーへと進化を遂げる。今回の発表は構想であり、実際の行動計画などについては、来年2月に「中長期事業計画」で発表し、その中で明確にしていく。

説明会には石橋代表執行役グローバルCEO、東正浩代表執行役グローバルCOO、菱沼直樹執行役員グローバルCFO(財務担当)、増永明執行役員(CDO・デジタルIT基盤担当)が出席。説明に先立ってあいさつに立った石橋CEOは「中長期事業戦略構想の草案は4月に完成していたが、COVID―19の感染拡大で発表が遅れた。当社にとってソリューションとは、顧客の〝困り事〟を現場以上にくみ上げ、顧客の気付かない改善案件を先んじて見いだすことで価値向上を図るということであると認識している。最高の品質で社会に貢献していく顧客に向き合う姿勢に加え、サステナビリティを中核とした独自のビジネスモデルを構築させ、2050年にはサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供する企業として進化する。そのためには変化に対する適正な意志決定と実行するガバナンスを構築し、価値競争の仕組みを作り上げる」と誓いを立てた。

ブリヂストンT&DPaaSは、タイヤや商品の販売だけにとどまらず、サービスとして提供していくための独自のビジネスプラットフォームで、断トツの商品とサービスを、商品ネットワークを通じてデジタル技術で融合、ソリューションとして顧客に新たな価値を提供していく。

同社にとっては、これまで築いてきたブランド力、ゴムを極めた素材力がコアコンピタンスである事実に違いはないが、激しい時代の変化への対応を見据え、将来的には「DX(デジタルトランスフォーメーション)」抜きに新たな価値創造は不可能と判断。デジタル技術を駆使した顧客の課題解決を支援するソリューションプロバイダーをブリヂストン3・0のコアコンピタンスへと育成することに決めた。同社ではソリューションビジネスをリードするデータサイエンティストの育成強化も推進しており、ブリヂストン本体のデジタル人財として約540人(日本約420人、欧米約120人)が活躍、Webfleet Solutions/iTrack事業デジタル人財として約750人が仲間に加わった。

同社では「やること」「やらないこと」を明確に大胆に選別。グローバルでのタイヤ市場競争はし烈さを増しているが、タイヤ・ゴム事業における強みを生かし、プレミアム領域などであれば、タイヤ業界にとどまりながら断トツ収益獲得体制を機能、同時にソリューション展開により、収益構造変革、成長戦略推進によって競争の土俵を根底から変える。グローバル×ローカル戦略を構築化し、M&A、業界再編、生産拠点最適化、抜本的生産性向上を図り、事業戦略と連動したリソースを再配分し、創出したリソースを新戦略分野に積極的に投下する。

ビジネス指針としては、コア事業である〝モノ〟を創って売る、成長事業として〝システム価値〟を創造して売る、〝価値〟を創って売るという3つの切り口から戦略を構築。モノを作って売る施策に関しては、高付加価値商品(断トツの商品)の生産・販売事業は同社事業戦略のすべてのベースであり、将来の発展に向けても徹底的に力を注ぐ。価値を創って売る施策は、タイヤ/モビリティデータを活用し、新しい価値を提供。「蓄積されたビッグデータを独自のアルゴリズムによって解析し、新たな価値を作り上げる。システム価値を創造して売る施策では、コア事業とタイヤデータ、モビリティデータを活用し、新しい価値を提供。顧客のオペレーションを最適化することで満足度を高める。これらをトータルに推し進めることにより、タイヤ・ゴム事業の強みを生かし、ソリューション事業へと進化させる。

グローバル戦略対象事業としては、トラック/バス(TB)用タイヤ、乗用車/小型トラック用タイヤ(PS/LT)、鉱山用タイヤ(OR)、航空機用タイヤ(AC)で、販売するだけでなく、タイヤセントリックソリューションとして、摩耗予測やメンテナンス、リトレッドやリペア、在庫管理までをパッケージングしている。