2020年8月5日

TOYO TIRE
TB用タイヤの使用状態推定モデル構築

新メンテ・ソリューション
TPMS、AI駆使

TOYO TIRE(清水隆史社長)は、トラックやバスなど、運輸車両の個別運行状況に応じ、装着されているタイヤの状態変化をはじめ、走行環境情報を自動的に収集し、蓄積するシステムを開発するとともに、このシステムで収集したデータに、個々のタイヤの既定情報や天候データなどといった外部情報を加え、AIを駆使してタイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築した。

同社はタイヤのメンテナンスという側面から、ロジスティクスの安全と効率を充足するアプローチについて、その可能性の探索を行ってきた。特に運輸業界においては、1~3カ月ごとに、人が計測機器を用いて1本ずつタイヤの溝の深さを測定、摩耗の点検を行っていることから、新しいソリューションとして、実測することなく適正にタイヤ使用状態を管理、メンテナンスしていくことができる推定モデルを実現した。

トラックやバスなど運輸車両のホイールに装着したセンサー(TPMS=タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システムの略。送信機を内蔵したセンサーで走行中のタイヤの空気圧や内部温度の監視を行うシステム)によって、空気圧や内部温度といったタイヤの状態をデータとして自動収集し、また、全地球測位システム(GPS)によって得られる位置情報や車両の加速度情報などと合わせて、リアルタイムでクラウドに蓄積する独自の情報集積システムとして開発されたのが「トラック・バス用タイヤ情報自動集積システム」。個別の車両運行状況によって異なるタイヤへの負荷や経年変化について、その推定確度を高めるために必要な情報を適切かつ自動的に収集、蓄積されるようシステム化したもので、同社はこの生きたデータを運輸事業者の車両メンテナンス管理に活用していくという構想を具現化していく。同社は今後、これを運輸事業向けのビジネスモデルとして構築し、タイヤメーカーならではのメンテナンス・サポートの確立を進めていく。

「トラック・バス用タイヤ使用(摩耗)状態推定モデル」は、この情報自動集積システムに蓄積されたデータを基に、より高い精度でタイヤの使用状態を推定し、把握できるようタイヤそのもののマスター情報をはじめ、外部データベースから取得した天候データなどを統合するとともに、AI技術を用いてデータ解析処理を行う。同社では実証実験を重ね、運行状況によって異なる各運輸車両のタイヤ使用状態、つまり、タイヤの摩耗進行度合いを個別に実測することなく、デジタル環境の中で推定することができるモデルを構築した。

今回のトラック・バス用タイヤ情報自動集積システムの開発にあたっては、三菱商事が株式の34%を出資する日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(垣原弘道社長)と、トラック・バス用タイヤ使用(摩耗)状態推定モデルの開発にあたっては、革新的ソフトウエア/サービスを通じ幅広い産業にAIテクノロジーの活用や高度なIoTソリューションの導入を進めるアナリティクスのリーディング・カンパニーであるSASインスティテュートジャパン(堀田徹哉代表取締役)とそれぞれ協業を行った。

TOYO TIREでは今回のメンテナンス・ソリューションは今後、タイヤの寿命を長持ちさせるような使用方法(交換ローテーションや最適運行ルートの提示、運転方法のアドバイス等)や顧客のニーズに合ったタイヤの提案など、安全やコスト低減といった課題解決にもつなげていくことができると考えており、こうしたメンテナンス・ソリューションの提供をビジネスモデルとして構築するための検討を進めていくとしている。