2020年9月15日

住友ゴム工業
泉大津市と「臨時避難所協定」締結

泉大津工場が締結、地域に貢献

住友ゴム工業(山本悟社長)のタイヤ生産拠点である大阪府泉大津市の泉大津工場(箱嶋英一工場長)は6月30日、地元である泉大津市との間で災害から市民を守る「臨時避難所協定」を締結した。これを受けて9月1日の「防災の日」に伴い、4日に大阪府主催によって実施された「第9回大阪880万人訓練」には、従業員ら約100人が参加、大阪府の数ある企業、団体、施設の中にあって大阪府の吉村洋文知事が泉大津工場を訪問し、避難活動のデモンストレーションの陣頭に立った。

4日に大阪府主催の訓練を実施
今回の臨時避難所協定締結の経緯については、新型コロナウイルスの感染拡大にさらされている状況にあって、従業員から「地域のために何かしたい」といった声が多く上がった。それを受けて泉大津工場では5月26日、近隣や泉大津市に消毒液の提供を開始。特に泉大津市に対しては、トータルで約3500㍑の消毒液を提供し、近隣の小中学校など公共施設の感染拡大に一役買った。これらの協力に対して、6月23日に泉大津市から感謝状を受けるとともに、同市の南出賢一市長から直々に臨時避難所協定の依頼を受けた。泉大津工場としてはこれを承諾し、同月30日に契約が交わされた。

箱嶋工場長は「泉大津市長から避難物資提供に関する感謝状を頂いた際に、今回の避難所協定の提案を頂いた。以前から緊急時に当社工場でも何かできないだろうかと社員で話していたため、ぜひ協力させてほしいと話が決まった。企業が地域に貢献することは必須であると考えており、今後も協力していきたいと考えている」とコメントしている。

各都道府県では、大規模な災害の発生が予測された際、各地の地元住民が緊急避難できる「指定緊急避難場所」が通達されているが、避難住民の安全確保の観点から、地方自治体が臨時避難所の利用が必要と判断した際、活用される。泉大津工場の敷地面積は約7万7000平方㍍で、工場エリアと本館エリアで構成。本館エリアには体育館、会議室、ロビーなどがあり、体育館内にはコンパクトに折り畳める段ボールベッド、簡易ベッド、テントなどが備蓄されている。新型コロナウイルス感染対策も万全を期しており、マスク着用、アルコール消毒のほか、検温などを実施。異常の可能性が生じた場合は別室で待機するよう体制も整えられている。大浴場も完備されていることから、気分的な癒しにも一役買うことができる。「官民連携による新しい形ができており、マルチ型避難所としてポスト―コロナ時代のロールモデルとなる」(南出泉大津市長)。

訓練当日、会場となった泉大津工場の体育館および体育館から本館までのルートを使用し、約10分間の避難訓練を実施。吉村大阪府知事、南出泉大津市長が避難所設備についての説明として、段ボールに座って検温を受けたほか、テント体験、大阪府職員への携帯電話による指示出しなど、本番さながらに訓練に没頭していた。泉大津工場からは約30人(勤務する社員の1割弱)が参加、安否確認訓練(携帯アプリやメールを用いた訓練)は勤務する全社員を対象に実施された。

【吉村大阪府知事のコメント】
コロナ禍における新しい避難のあり方を見ることができた。民間の住友ゴムと泉大津市が連携して、避難場所を確保した取り組みは画期的で大きな第一歩であると思う。住友ゴムの体育館にはシャワールームがあり、大浴場もあるので、安心してスペースを確保できるだけではなく、避難されてくる方に快適な場所を提供することができる。コロナ禍で避難場所をどのように確保していくかを考えたとき、民間と市が協力することで災害に強い街づくりができる点に着眼した住友ゴム、泉大津市の発想はすごいと思う。今回避難訓練に参加させて頂き得た情報を、他の市町村にも広げていきたいと思う。府民、市民の皆様が快適に避難できる場所の確保を民間の皆様と進めていきたい。