2020年9月15日

住友理工
薄膜高断熱材「ファインシュライト」開発

ナノ細孔の高断熱フィラー塗料化

住友理工(清水和志社長)は、高断熱フィラーを塗料化した塗布型の薄膜高断熱材「ファインシュライト」を開発し、製品化した。

同社のコアコンピタンスである高分子材料技術を応用し、空気が動けないほど微細なナノサイズの細孔を持つ高断熱フィラー(シリカエアロゲル)を塗料化。不織布、成形樹脂などの基材にコーティングすることによって、静止空気以上の高断熱性を発揮する薄くて柔軟な断熱材を実現した。

同社では、熱の移動方法である対流・伝導・輻射のうち、対流に着目。固体で最も熱伝導率の低い物質であるシリカエアロゲルは、内部の細孔が空気の動けないほどの空間に仕切られており、空気が対流できないことから熱伝導が抑制される。今回、このシリカエアロゲルを微細に粉砕した断熱フィラーとして加工し、独自の高分子材料技術によって、フィラーが高密度な状態を維持したままでの塗料化を実現した。塗膜として、静止空気の熱伝導率0・026W/mKを下回る、0・020W/mKを達成している。

同社はこのファインシュライトを、不織布にコーティングしたシートタイプでの供給を開始。狭いすき間や空間にも設置可能で、軽量であることから、同社が主な事業基盤とする自動車向けだけでなく、熱対策が必要な家電、住宅、保冷ボックスなどといった幅広い用途での断熱対策に寄与する。さらに、不織布以外にもさまざまな基材に応用が可能なことから、より大きな可能性を持った製品展開を見据えた開発を進めていく。

同社グループでは、熱マネジメント分野での技術・製品開発を通じて、人々の暮らしにおける快適性の向上、エネルギー効率の向上に貢献していく。