2020年10月5日

日本触媒
新しい高吸水性樹脂開発

10%以上機能向上

日本触媒(五嶋祐治朗社長)は、データサイエンスを駆使して、吸収量や吸収速度などの機能を従来比で10%以上高めた新しい高吸水性樹脂(SAP)の開発に成功した。

SAPは、主に紙おむつに使用。紙おむつは、新興国では子ども向け、先進国では大人向けを中心に世界的に需要が拡大している。紙おむつには、ドライ感、もれない、かぶれない、コンパクトなどといった性能が求められており、その性能実現にSAPが重要な役割を果たしている。同社では、1985年にSAPを製品化して以来、継続的にSAPの新製品を開発。しかしながら近年の多様化、高度化するニーズに対しては研究開発、商業化のスピードアップが課題となっていた。

今回同社では、経験と勘に依存することの多かったSAPの研究開発にデータサイエンスを導入し、顧客のニーズを的確に反映する製品設計から商業化までを迅速に行い、顧客への提案体制を整えた。現在、同社のSAP新製品は、すべてこの手法により開発が行われている。

SAPには、体重が加わった想定での加圧下および無加圧下の吸収量、吸収速度、液の拡散状態などといった性能に対する要望が高度化。これに対し、同社はこれまで蓄積してきた紙おむつ性能とSAP性能の相関性や合成時の挙動解析、SAPの表面制御技術をデジタル情報化し、ディープラーニング(機械学習)やインフォマティクスなどのデータサイエンスを駆使、これら性能を10~20%向上させた。従来にない新規SAP製品の開発に成功しただけでなく、開発期間も従来の約半分程度に短縮されている。

新しく開発されたこの方法で姫路製造所をはじめ、世界各地の生産拠点で生産を行い、25年には同社のSAPの4割に置き換える計画。

これにより、紙おむつ使用者のドライ感、もらさない、かぶれない、そしてコンパクト化ニーズの向上に貢献していく。

同社では、今年6月にデータサイエンス&インフォマティクス推進室を発足させ、高吸水性樹脂をはじめとして、洗剤原料、アクリル酸触媒など、さまざまな製品分野で、データサイエンスの活用を推進している。