日本触媒
三洋化成との経営統合中止
環境変化で困難に
最終契約解約で両社合意
日本触媒(五嶋祐治朗社長)ならびに三洋化成工業(安藤孝夫社長)の両社は、共同株式移転の方式により来年4月1日付けで両社の親会社となる「Synfomiⅹ株式会社」を設立し、経営統合(以下、本経営統合)を行うことで合意していたが、今月21日開催のそれぞれの臨時取締役会において、本経営統合を中止することを決議し、両社の合意により本経営統合に係る最終契約を同日付けで解約した。
両社は、昨年5月29日に本経営統合に向けて検討を進めていくことについて基本合意書を締結して以降、両社の経営統合に向けた詳細な検討と協議を進め、昨年11月29日には、両社間で本経営統合に係る最終契約を締結し、今月1日付けで本経営統合を行うことを公表していた。
また今年4月13日には新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や原油および石油製品相場の急落等を踏まえ、本経営統合の合意の基礎となった両社の業績等ならびに金融、経済、市場その他の事業環境の見通しが不透明となったことを理由として、最終契約で合意した株式移転比率の見直しと本経営統合を来年4月1日に延期することを両社で合意し、公表を行っていた。
しかしながら昨年11月の本経営統合に係る最終契約の締結以降、原材料価格や製品価格の著しい変動が見られ、また製品需要の先行き不透明感が増すなど、両社を取り巻く事業環境が急速かつ大きく変化したことにより、経営統合を実施することが困難になったとの認識に至った。そして、現在の事業環境に鑑みたそれぞれの会社が持つ優位性を独自に発揮していくことが両社の企業価値向上につながると判断し、本経営統合を中止し、本経営統合に係る最終契約を解約することに合意した。
本経営統合は中止となったが、両社は引き続きさまざまな面において今後も良好な関係を維持していくとしている。
日本触媒では、本経営統合の中止による戦略見直しが必要としながらも、強固な財務基盤の下、基本戦略は変更せず、競争力のあるマテリアルズのバリューチェーンを顧客課題にこたえるソリューションズビジネスに生かし、新たな価値を生み出していく戦略を日本触媒グループ単独でも遂行していくフレームワークを構築することで、企業としての位置付けを高めていく。
具体的にはマテリアルズ部門ではEO、AA/SAP等の基盤事業において、現在進めている”SAPサバイバルプロジェクト”に代表されるそれぞれのコストダウンを徹底し、高品質の素材を高い生産技術力でグローバルに提供することで、収益の拡大を図る。ソリューションズ部門においては、同社の強みであるキーマテリアル開発力を生かし、他社にない独自の機能提供で、世界中の顧客の課題解決を目指すことにより、事業の拡大を図る。中でも成長分野としてインダストリアル(モビリティ、ペイント&コーティング等)、エナジー&エレクトロニクス(新エネルギー、電子・情報材料等)、ライフサイエンス(医薬品、ヘルスケア、化粧品等)に力を注ぐことで、今後の事業の柱としての育成を加速させていく。