2020年3月5日

積水化学工業
サーキュラーエコノミーの取り組み推進

住友化学と協力関係構築
ごみを原料に製造

積水化学工業(加藤敬太社長)と住友化学(岩田圭一社長)は、〝ごみ〟を原料としてポリオレフィンを製造する技術の社会実装に向けて協力関係を構築することに合意した。これは、ごみをまるごとエタノールに変換する生産技術の開発に成功した積水化学工業と、ポリオレフィンの製造に関する技術・ノウハウを有する住友化学が協力することで、ごみをポリオレフィンにケミカルリサイクルするサーキュラーエコノミーの取り組みを推進するもの。積水化学工業はごみから得たエタノールを、住友化学はそのエタノールを原料としたポリオレフィンを、それぞれ2022年度から試験的な生産を開始し、25年度には本格上市を目指す。

日本で排出される可燃性ごみは年間約6000万㌧で、そのエネルギー量はカロリー換算で約200兆㌔㌍にも達する。これらの量は日本でプラスチック素材を生産するために用いられる化石資源の量(年間約3000万㌧)およびカロリー換算したエネルギー量(約150兆㌔㌍)に比べて大きいにもかかわらず、その再利用は一部にとどまり、多くは焼却・埋立処分されているのが現状。雑多・不均質で、含まれる成分・組成の変動が大きいというごみの工業原料としての扱いにくさが、その再利用を阻んできたと言える。

積水化学工業は17年12月、米・ランザテック社と協力し、ごみ処理施設に収集されたごみを一切分別することなく一酸化炭素と水素にガス化し、このガスを微生物によって熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する生産技術の開発に成功した。一方、住友化学は石油化学分野で長年にわたり培ってきた技術・ノウハウを生かし、ごみ由来のエタノールを原料にエチレンを経てポリオレフィンを製造する技術開発を行う。両社の協力により、このエタノールから身近なプラスチックなどの有機化学素材を生み出すことで、ごみを原料としてポリオレフィンを製造するサーキュラーエコノミーを確立し、新たな化石資源の使用量を削減すると同時に、ごみ焼却時に発生するCO2排出量や廃プラスチックを削減することで、持続可能な社会の構築に貢献していきたいと考えている。