東部工業用ゴム製品卸商業組合
新春トップインタビュー
魅力あふれる企画立案
時代にマッチする運営心掛ける
【昨年を振り返って】
ゴム業界の景況感については、コロナ禍で停滞ムードにあったことは否めない。組合企業にあっても、一部コロナ関連で特需の恩恵を受けた会社があったものの、全体的には売り上げが2ケタ近く落ち込んだと聞いている。どの会社にとってもそれは同じだろうが、とにかくお客様の元を訪ねて打ち合わせをしたり、営業活動ができないことには苦慮した。ベルトホース部会ならびに工業用品部会が実施した「景況観測調査」でも、そういった情勢は如実に反映されており、ベルトホース・工業用品合わせて80社の回答およびDI(景気動向指数)を見ると各社ともあまり業況がいいとは言えなかったようだ。
足元の状況としては、一時に比べるとかなり回復に向かっている。今期第1四半期の4―6月は非常に厳しかったが、そこを底として徐々に上向いてきた。自社の業況を見ても半導体関係は持ち直しており、Vベルトやゴムホースは微増ながら、樹脂ベルトが食品向けを中心に好調であった。そのほか土木関係も堅調を維持している。今後も不透明感は拭い去ることができないが、悪いと言ってもリーマンショックの時ほどではない。ただ、漫然とした言いようのない停滞感が続いていることは確かだ。
【組合活動について】
やはり(コロナの影響で)多くの人が参加する行事は開催を自粛することを余儀なくされた。総会は書面による出席で開催したが、各部会の会合は状況を見ながら”三密”を避けるために広い会議室を借りるなど、感染対策を講じた上で行ってきた。組合”伝統”の野球大会は過去には天候不順で開催の中断となったことはあったが、夏場の感染拡大を受けて、当初から開催を見合わせた。ほかにも多くの組合員と従業員が楽しみにされている落語観賞会や参加者の商品知識の向上に役立つ商品展示説明会までが中止となり、例えようのない悔しい思いであった。そのような状況ではあったが、9月に理事会を開いたときは久しぶりに顔を会わせる方も多く、協議のほかにも近況などを互いに語り合えたことが大きな救いとなった。
今年は、新年の賀詞交歓会は中止としたが、昨年開催がかなわなかった商品説明会のほか、夏場の野球大会も予定に組み入れ、それぞれ例年通りに会場を押さえている。5月に開催予定の総会については役員の改選期にあたるため、書面による決議ではなく通常通り行うつもりだ。今夏には昨年延期になった東京五輪の開催も控えており、当組合としても商品説明会や野球大会とともに、ぜひ“熱い”夏にしていきたいと早期のコロナ収束を願っている。
【今後の課題について】
商社としてもこれだけ社会と経済が大きな打撃を受けている中で既存製品のマーケットインだけではなく、革新的なイノベーションによって新たな価値を創出していかなければ永続的な発展が難しい時代になっている。組合活動にあっても同じことで、例えばリモートによる研修・セミナーや理事会・部会の開催など、一堂に会さなくても参加できる形での取り組みを模索していく必要があるだろう。ただ、オンラインによる会合で事が済む場合もあるだろうが、個人的にはフェイストゥフェイスな付き合いでこそ本来の交流と組織の一体感が生まれるととらえている。組合に参加するメリットの一つは、日ごろのコミュニケーションの中で事業に有益な情報を入手できることだ。リモート対応の導入については、従来のやり方とのバランスを保っていくことが大切かもしれない。
【組合の体制について】
理事長に就任以来、今年の5月で3期6年目を迎えるが、ここ数年で組合の世代交代が急速に進み、若手も成長し、次世代に組合運営を引き継いでいく体制が磐石なものになってきた。世代間のギャップという壁もあって先輩諸氏と若い世代を結んでいくことは一朝一夕にはいかないが、若手には組合の長きにわたる伝統と歴史を重んじながら、これからの時代にマッチする運営を心掛けてほしいと期待している。
【新年の抱負を】
活発な組合活動の再開を実現することに尽きる。ただし、社会情勢に則って感染拡大のリスクを伴わない形での行事の開催を目指していきたい。今後のデジタル化の進ちょくいかんでは、リモートで理事会の進行を見てもらうことも可能になるだろうし、支部会に本部からオブザーバーとして参加すれば、より支部の活性化につながるのではないかと考えている。また、組合員が参加できる行事についても、これまで以上に参加メリットがある、魅力あふれる企画を立案して実施していきたい。