2021年1月20日

中部工業用ゴム製品卸商業組合
新春トップインタビュー

満足度の高い事業展開
IT導入し新たな取り組み加速

【昨年を振り返って】
いずれの地区にあっても同じだろうが、今般のコロナ禍によって4月、5月は経済の動きが止まったように感じた。中部地区は自動車産業が盛んだが、欧米においては新型コロナの感染拡大で自動車の販売が大きく落ち込み、国内カーメーカーも減産を余儀なくされたことで、われわれ商社の事業にも少なからず影響を及ぼした。もう一つの主力である工作機械業界は、一昨年からの米中貿易摩擦によって低迷が続いていたが、コロナの感染拡大がさらに追い討ちとなり、4~6月は大変厳しい状況で推移した。しかしながら、秋以降は中国を中心に自動車生産が回復に向かっており、工作機械関連も需要が戻り、日本においても市況が持ち直してきた印象だ。ただ昨年末からの(新型コロナの)第3波襲来により先行きは依然、不透明な状況であり、ワクチンの効果および国内での認可に期待を抱いているものの、少なくとも春先までは似通った状況が継続するものとみている。

【今後の課題と展望について】
中国では回復が早かったため、自動車や工作機械で使われる部品の輸出に力を入れようとしたが、航空便および船便の運行が大幅に減り、手配が難しいという状況が続いている。タイやベトナムでも増産体制に入っているものの、船便の確保がおぼつかないことで輸出入については輸送手段の問題が浮き彫りになっている。国内においては、リニアの着工が静岡工区の問題で遅れており、南アルプスの現場での需要に対して準備を整えようとしていたが、しばらく先送りになりそうなのが実感だ。このような情勢ではあるが、今年開催予定の東京五輪を契機とする景気の高揚のほか、ワクチン接種の効果が実証され、経済へのカンフル剤となってくれることを切に願っている。現状、公共事業は大きなコロナの影響は被っていないものの、ゼネコンでは現場での感染対策を徹底的に実施しており、われわれとしてもその打ち出しに足並みをそろえて事業活動にまい進している。

【コロナ禍における事業活動での取り組みは】
今般の災厄によってニューノーマルな働き方がクローズアップされているものの、営業活動においては、やはりフェイストゥフェイスな商談の打ち合わせができないことは大きな障壁となっている。既存のビジネスではウェブを活用したコミュニケーションでも事足りるが、新規開発の案件については、アポイントを取ることが難しく動けないのが実態だ。振り返ればリーマンショックでも経済は大きな打撃を受けたが、仕事が減少した中でもお客様の元に伺い、繁忙なときには実現できなかった提案営業に取り組んだことで新規のオリジナル製品を立ち上げた実績もあるが、コロナ禍ではそれも困難なので苦慮している。お客様におかれても、BCP対策を強化し、ラインストップをしないようにサプライチェーンの構築を図っているものの、今回は国そのものがロックダウンするなど、供給元の多様化だけでは対応できないケースが多い。製造ラインを稼働させたくても部材調達が滞る局面もあり、サプライチェーンをもう一度見直す必要性があると考えている。

【組合活動について】
昨年は中部ゴム工業会との共催による〝ウェブを活用した営業〟の研修会や、秋のゴルフ大会は開催したものの、例年実施していた多くのセミナー、社員交流会といった行事はすべて中止となった。直近の社会情勢に鑑みて今年の新年賀詞交歓会のほか2月に予定していた親ぼくボウリング大会も開催を取り止めた。今後の組合活動の在り方としては、デジタルツールを使ったオンラインによる新入社員研修や技術研修の開催にチャレンジしていきたい。こういった試みは感染対策の観点だけではなく、会場への移動の手間もなく時間をより有効に使えるメリットがある。遠方の会員でも参加しやすいことで、より組合活動への参画メリットを感じて頂けるのではないかと考えている。また、組合員各社が永続的に事業を発展させていくためには、右から左に商品を動かすだけではなく、いかに付加価値をつけていくかがカギになる。そのための情報発信の手段を模索しており、例えば商品展示会の開催など、各社のオリジナル商品や新素材・加工技術などを紹介し、互いがウィンウィンになるような事業のヒントを提供していければと思いを巡らせている。

【今年の展望と意気込みを】
事業環境を見渡すと、輸出関連が回復基調に乗っており、これを追い風に経済がより活性化していくことを期待している。今後はウィズコロナの世界でのニューノーマルに対応して従来までの仕事への取り組み方は大きな変革を遂げていくだろう。自社においても、社内研修や外部研修を通して創造に重きを置いた時代に応じた取り組みを推進している。その中から、組合の活動にも効果が見込めるプランをチョイスして横展開できればと考えている。ITを導入した新たな取り組みを加速しながら、引き続き組合員に参加メリットがある満足度の高い事業を展開していきたい。