2021年2月15日

ブリヂストン
四輪、二輪車用タイヤの新商品訴求

プレミアムSUV専用タイヤ「アレンザLX100」
“スポーツ”と”コンフォート” ラインアップ実現

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は、プレミアムSUV専用タイヤの新商品「ALENZA(アレンザ)LX100」を2月1日から発売を開始した。同社では、オンロード領域のSUV専用タイヤ「DUELER(デューラー)H/L850」の後継モデルとして同LX100を開発。デューラーの基本性能を受け継ぎながら静粛性を大幅に高めており、〝高次元の静粛性〟〝SUV専用設計によるふらつき低減〟〝耐摩耗性の向上〟といった主な特長に加え、従来品との比較ではさらに転がり抵抗を抑制したことで、低燃費タイヤのラベリング「A―c」を発売全サイズ(39サイズ)で達成している。

新商品の発売に先駆けて先月29日に実施された報道向けのオンライン説明会では、ブリヂストンタイヤソリューションジャパンの雀部俊彦消費財商品企画部長がアレンザLX100のコンセプトおよび商品概要の説明にあたった。

近年、拡大が続くSUV市場は今後もさらに伸長していくことが見込まれている。中でもオンロード系の車種の拡大は顕著であり、同社では補修用タイヤの需要は、2024年には19年比で約2倍まで高まっていくと見込んでいる。雀部部長は「SUV市場においては、通常の街乗り的なニーズへとシフトしており、タイヤについても車重や車高に応じた特性に加え、乗用車用タイヤに求められるコンフォート性能(静粛性・乗り心地)にもこたえていく必要がある。当社ではアレンザLX100の発売を契機にSUVブランドの体系を見直し、オフロード向けは『デューラー』へと集約した。一方、オンロード領域については『アレンザ』にブランドを統合し、明確な〝すみ分け〟を図りながら販売展開を加速させていく」と新商品の開発背景と今後の方針について述べた。

開発にあたっては、サイレントテクノロジー搭載のパターンとSUV専用設計によるファインチューニングによって、乗り心地の確保やふらつきの抑制など〝SUV専用コンフォートタイヤ〟に求められる性能のさらなる追求をコンセプトに掲げた。まずサイレントテクノロジーについては、高周波のノイズの抑制技術として「3Dノイズ抑制グルーブ」を採用。一般にストレート溝の中で発生する共鳴が高周波のノイズの原因であるため、ストレート溝とストレート溝の間に消音効果を生み出すくぼみを設けてノイズを低減。さらにタイヤの摩耗が進行しても消音機能を保つための「シークレットグルーブ」を内包しており、摩耗度合いに応じて溝形状を最適化、ある程度摩耗が進行しても一定の効果を発揮し続けることを可能にしている。一方、中周波ノイズに対してはトレッド部とサイドウォールの間にダイヤ型の「3Dノイズカットテザイン」を採用。これによってトレッドの振動がサイドウォールに伝わりにくくなり、中周波のノイズを低減した。同社が公表した従来品との比較による検証結果では、新品時は約22%の騒音エネルギーの改善、60%摩耗時でも9%のノイズ低減を達成している。ふらつきの抑制や乗り心地向上に向けたSUV専用設計においても、セダン・ミニバン用はケース部材が1枚なのに対して2枚使用しており、ビードフィラーとプライ折り返しを高めにしてケースを剛性化、コーナリングなどでのふらつきを抑制する。また、乗り心地面でも、車高の高さやボディ剛性が高いSUV車の特長を踏まえてトレッドゲージ(ゴムの厚さ)を最適化。路面から伝わる振動をコントロールすることで乗り心地の良さを追求した。

「発進時から、すぐに〝マイルドさ〟を実感することができ、走行中の音や振動の心地良さを体感できると思う。快適性と操縦安定性の高次元でのバランスをぜひ体感してほしい」(同社)。

スポーツツーリング向け 二輪車用
ウエット性能大幅向上

また同社は昨年11月に発表した二輪車用タイヤ「BATTLAX SPORT TOURING(バトラックス スポーツ ツーリング)T32」および「同T32GTスペック」の発売を今月1日から開始した。

バトラックスは1983年に誕生して以来、レースやスポーツ、ツーリングなどモーターサイクルの幅広いカテゴリーにおいて活躍するブランドで、多くの新車装着タイヤにも採用されている。今回発売されたバトラックス スポーツ ツーリングT32は同T31の後継モデルにあたり、走るシーンを選ばないスポーツツーリングラジアルとして、あらゆる路面において確かな接地性を発揮する。従来品と比べて特に進化したウエット性能については、ぬれた路面でのトラクションやブレーキ性能、コーナリンググリップを高めるために「パルスグルーブ」を搭載。溝の形状を脈動形状にするとともにディフレクターを設置し、水の流れが均一化されて流れる速度が増すことで排水性がさらに向上。ウエット制動距離は従来品との比較では7%短縮した。

発売に先駆けて先月22日に行われたオンライン商品説明会では、同T32の設計に携わった同社タイヤ開発第4部門MCタイヤ設計第2課の原田陽一氏が「新開発のバルスグルーブはパターンとしては独特の形状で、デザイン的には社内で賛否両論が巻き起こったが、海外では高評価であったため強い確信を抱いていた」と新製品のビジュアル面に自信をにじませた。また、開発責任者である藤田昌宏MCタイヤ事業部長も「当社としてはあまり類を見ないパターンデザインではあるが、この独創性はインターミディエイトタイヤのような手彫り感があって、新たなセールスポイントにもなり得るだろう」と、T32の視覚的な訴求効果について言及した。

溝の比率をアップさせることでドライ性能がスポイルされる問題については、同社独自の開発技術「アルティメットアイ」を駆使した解析によってパターン構成を最適化。接地面での粘着域を従来品より高めたことでカバーしており、かつ従来品とそん色のない摩耗ライフを維持している。

250㌔㌘以上ある重量車向けにはオプションとして同GTスペックもラインアップ。重量車に特有の重厚感にマッチさせるため、溝配置とパターン剛性を最適化させ、ロングツーリングなどで求められる安定性と耐摩耗性をさらに追求。従来品との比較では摩耗ライフを10%向上させている。異なる特性を有する2つのタイプを取りそろえることで、250㌔㌘より軽量なバイクにはT32、重量車やさらに摩耗ライフを重視する場合は同GTスペックが推奨されるタイヤとなり、ユーザーは車種の特長に合ったタイヤを選択することが可能になった。

「ドライ路面では素直なハンドリング特性を持ち、ウエット路面においてもさらに〝安心・安全〟を感じて頂ける、バイクに乗る楽しみを心いくまで味わうことができるタイヤに仕上がった」(藤田部長)。

なお、T32の発売サイズはフロント用10サイズ、リア用12サイズの全22サイズ。同GTスペックはフロント用2サイズ、リア用3サイズの全5サイズ。