2021年2月25日

ミシュラン
初のタイヤリサイクルプラント

エンバイロ社との合弁で

ミシュラン(フロラン・メネゴーCEO)は、スウェーデンのエンバイロ社との合弁事業として、ミシュラン初となるタイヤリサイクルプラントを南米チリのアントファガスタ地域に建設する。プラントは2021年に建設着工、23年生産開始予定で、投資額は3000万㌦以上となる。

使用済みタイヤのリサイクル技術はタイヤ産業にとって重要な柱であり、ミシュランの持続可能な原材料調達の取り組みの一つ。エンバイロ社は使用済みタイヤからカーボンブラック、熱分解油、ガス、スチールを回収する特許技術を有しており、本プラントで年間3万㌧のブルドーザー、パワーショベル等の大量の土を動かす大型土工機械のアースムーバー用タイヤをリサイクルできる見込みとしている。これは、チリで毎年廃棄される当該タイヤの約60%に相当する。

プラントでは、使用済みタイヤを直接顧客の敷地から回収、運搬・切断し、リサイクルを行う。回収された材料の90%はタイヤ、コンベヤベルト、防振製品などのさまざまなゴム製品に、残りの10%はプラントが自社の熱や電力として再利用する予定。

ミシュランのハイテクマテリアル新規事業、マーケティングおよび事業開発責任者兼副社長のサンダー・フェルミューレン氏は「エンバイロ社との合弁事業で、ミシュラングループ初のリサイクルプラント建設について発表できることを大変誇りに思う。これは、新しいビジネスを開発しながら、お客様へ新世代のリサイクルソリューションを提供するための大きなマイルストーン。現在、チリの鉱業顧客数社と長期契約に関する交渉を進めている。ミシュランは、エンバイロ社の技術をさらにスケールアップすることで、環境目標をサポートしながら循環経済発展のためのソリューションの提供を行っていく」とコメントしている。

タイヤリサイクルプラントの建設は、ミシュランのVISIONコンセプトの実用化を進め、タイヤ生産に持続可能な原材料を増やすというグループの取り組みと完全に一致。ミシュランは、この分野のイノベーションには新しい形のコラボレーションが必要であることを認識し、多様な技術分野の革新的なパートナーシップを構築していく。

VISIONコンセプトは、持続可能なモビリティを具現化するためのミシュランの経営・開発戦略として17年のMovin’Onサミットで発表された。同コンセプトのイノベーションの4つの大きな柱は①エアレス②コネクテッド③3Dプリンティングの活用④100%の持続可能原料の使用(すべて再利用できることまたは生体材料を使っていること)であり、この4つを最終的に実現することを目指している。