2021年3月5日

横浜ゴム
「SensorTire Technoloℊy Vision」発表

IoTタイヤ情報
センシング機能の範囲拡大

横浜ゴム(山石昌孝社長)は、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision(センサータイヤテクノロジービジョン)」を発表した。センサータイヤテクノロジービジョンは、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)から得られる情報をドライバーや外部のさまざまな事業者に提供、新たなモビリティ需要の変化に対応しながら、人々の移動を足元から支え、安心・安全に持続的に貢献することを目指している。

具体的には、センシング機能とリアルタイム性を指標として提供するサービスを分類。それぞれに適したセンシング機能やデータ分析・予測技術を段階的に構築し、センシング機能の利活用範囲の拡大を行う。まずは個人向けや車両運行管理会社を対象とした空気圧通知サービスの実証実験から開始し、2023年までに摩耗検知機能を追加する。これにより、タイヤローテーション時期のお知らせや、複数の車両を所有する企業や官公庁などといったフリート向けの効率的なタイヤ点検計画などの提案が可能となる。

将来的には、地図情報や渋滞、天候情報などといったさまざまなプローブ交通情報等とタイヤデータを関連付けて分析することで、安全な運行ルートの提案といった新たな付加価値情報を提供。自動運転車両やMaaSに関連したサービスを提供する会社などに向けて、安心・安全な車両運行管理をサポートする取り組みも目指す。

同社では、センサータイヤテクノロジービジョンの策定に先駆けて、19年に開催された第46回東京モーターショーのプレスカンファレンスにおいて、アルプスアルパイン(栗山年弘CEO)との先進的乗用車用タイヤセンサーの共同開発を発表。今後はタイヤもCASE対応およびIoT化が必須と考え、CASE対応のための新技術開発を推進している。CASEのConnected(コネクテッド)分野において、従来のタイヤ空気圧検知に加えて、摩耗や路面の状態を検知し、それらの取得データをデジタルツールで処理・管理していくソリューションビジネスの展開を視野に入れた研究開発をアルプスアルパインと共同で行っている(関連記事2面)。

横浜ゴムは、04年に当時では国内タイヤメーカー初となる乗用車向けタイヤ空気圧モニタリングシステム「AIR watch(エアーウォッチ)」を開発し、05年から限定発売を開始した。同商品は、04年にグッドデザイン賞、06年には日刊自動車新聞社が主催する「日刊自動車新聞用品大賞2006」の機能用品・アクセサリー部門賞を受賞している。厳しいタイヤ管理が求められる運輸・輸送会社向けには「安全な輸送」「輸送効率の向上」「省燃費による環境貢献」を実現するトラック・バス用のTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)として「HiTES(ハイテス)」を03年に発売。ハイテスから得たタイヤ運用履歴などを横浜ゴムのタイヤ・マネジメント・システム(TMS)と連動させることによって、運行傾向の分析やタイヤ点検時期を知らせるなどユーザーの総合的な車両運行管理のレベル向上と、リトレッドタイヤの推進に活用している。

アルプスアルパインは、1948年に設立。電子部品および車載情報機器メーカーとしてセンサー開発のほか、システム設計力やソフトウエア開発力を備えており、横浜ゴムでは新しいタイヤビジネスモデルでのシナジー効果を期待している。