2021年3月5日

住友ゴム工業
タイヤ周辺センサーバッテリーレス化に成功

タイヤ内側に発生する静電気利用

住友ゴム工業(山本悟社長)は、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス「エナジーハーベスト」を取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発に取り組んできたが、その技術を確立し、タイヤ周辺センサーのバッテリーレス化に成功した。関西大学の谷弘詞教授と共同で行ってきたもので、エナジーハーベストは身の回りで使われずに捨てられている光、振動、熱等のわずかな環境エネルギーを拾い集めて活用する技術で、環境発電とも呼ばれている。

新技術は、摩擦帯電に関する構造と材料の最適化で発電電力を向上させ、充電機能の追加によって電池などのバッテリーを使用することなく、タイヤ周辺に搭載するセンサーへの電源供給を可能とした。発電デバイスから電源制御回路へ充電し、外部センサーへ給電・動作させるシステムを開発。検証テストでは、タイヤ速度が時速50㌔で発電量800㍃㍗以上の発電量を確認し、外部センサーを起動してBLE(ブルートゥース・ロー・エナジー)の連続通信を実現させた。

同社では、CASEやMaaSなどといった自動車業界の変革に対応する目的から、タイヤ技術開発および周辺サービスのコンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を掲げて、さまざまな技術開発を推進。中でもタイヤをセンサーとしたソリューションサービスの提供を進めている。今回のタイヤ内発電技術は、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段であり、この実現によってタイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができると考えられている。

今回のテーマは2019年10月に科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A―STEP)シーズ育成タイプという、大学などの研究成果に基づく技術シーズの可能性検証および実用性検証を行い、中核技術の構築を目指す産学共同の研究開発を支援するプログラムに採択されており、同機構の支援を受けながら開発を進めている。

住友ゴムでは、今後も〝タイヤがクルマとつながる、人とつながる、社会とつながる〟をキーワードとして、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けて住友ゴム独自の価値を提供し続ける。