2021年4月15日

トリンセオ
マスバランス認証取得

SBR業界で世界初
評価対象は3つの材料群

材料ソリューションプロバイダー兼プラスチック・ラテックス接着剤・合成ゴムの製造を手掛けるグローバルメーカー、トリンセオ(フランク・ボジッチCEO)は、サステナビリティの認証制度であるISCC(インターナショナル・サステナビリティ&カーボン・サーティフィケーション)からSBR業界で世界初となるマスバランス認証を取得した。これは欧州の工場で製造された3つの材料群が評価の対象。ドイツのシュコパウの合成ゴム、ベルギーのテッセンデルロのポリスチレン、ドイツのシュターデで製造されたポリカーボネートに対して発行された。

マスバランスとは、生産サイクル全体の投入量(持続可能な原料など)の総量を最終製品までトレースする証拠保全管理体制(CoCモデル)で、既存の製造インフラの利活用により持続可能な材料を製造する際に有効なシステムの一つとして設定。マスバランス認証を取得した原料を全体の10%を投入した場合には、完成した製品のうちの10%をサステナブルな製品と保証することが可能になる。持続可能な社会の実現に向けて世界的に気運が高まる中、自動車産業においても各メーカーが原材料の循環利用を進めてはいるものの、持続可能な原料での製造には新たにばく大なインフラ投資が必要になるなどの大きな商業的障壁が存在。マスバランスの活用を通じて、既存の石油資源と持続可能な資源を組み合わせた製品を製造し、原料全体のうち持続可能な供給原料が占める割合を段階的に高めていくことで、サステナブルな構造組成への変革を可能にし、持続可能な社会の実現に向けた企業活動をサポートする。

日本ではSBRの約7割がタイヤ産業において消費されており、昨今では大手タイヤメーカーは続々とサステナビリティへの取り組みを強化。タイヤのライフサイクルにおけるCO2排出量に目を向けると、約90%は使用段階、約3%は原材料調達段階と言われている。現在ではタイヤの改良などにより、燃費性能を向上させることで使用段階でのCO2削減への貢献を推進。同社ではこれに加えて、マスバランスの適用により持続可能な原料(バイオ/循環型原料)を使用することによって、タイヤの持続可能な製造拡大に向けた一つのソリューションを提供する。

昨年設立10周年を迎えたトリンセオは、持続可能な製品ポートフォリオの提供や気候変動への取り組みなど、サステナビリティへの15の具体的目標を掲出。マスバランスは、主力商品の一つである合成ゴムへの取り組みが、真の循環性への達成に向けての最初の一歩と位置付けている。

同社では2030年までに製品ポートフォリオの40%を持続可能にする目標を目指し、マスバランスを通してタイヤの持続可能な製造拡大をサポートしていく。