2021年4月25日

ブリヂストン
匠の技伝えるシステム開発

自社流のDX「モノづくり領域」

ブリヂストン(石橋秀一CEO)は、中期事業計画を支える同社流のDXの一環として、航空機用タイヤと建設・鉱山車両用タイヤの「モノづくり領域」において、匠の技を伝えるシステムを高速度現象の可視化・計測技術に強みを持つノビテック(本社・東京都渋谷区、小西信宇代表取締役)と共同で開発した。

同システムは、デジタルを活用して工場における航空機用タイヤや建設・鉱山車両用タイヤの成型作業に必要な暗黙知を形式知化・定量化し、熟練技能員の匠の技を確実かつ効率的に伝承することを可能にする。既に航空機用タイヤを生産する久留米工場、建設・鉱山車両用タイヤを生産する北九州工場に本格導入され、同社のソリューション事業を支える「断トツ商品」の安定供給に貢献している。今年上期中には、航空機用タイヤを生産するタイ工場でも展開を行う予定。

同社は、市場・顧客情報を素早くエンジニアリングチェーンにつなぐ市場・顧客接点のDXとともに、技術イノベーションを推進すべく素材開発~製品開発~モノづくりというエンジニアリングチェーン全体でのDXに取り組んでいる。これは、現場の匠たちによって長年培われてきた膨大なデータや経験が支える「ゴムを極める(ゴムを見る・解く・操る)」技術などの「強いリアル」に、デジタルを融合することで、〝より大きなデータで、より早く、より容易に、より正確に〟、断トツ商品開発、断トツソリューション」につなげる同社独自の取り組み。

過酷な使用環境に対応するため、高品質・高性能が要求される航空機用タイヤと建設・鉱山車両用タイヤは、タイヤメーカーの総合的かつ高度な技術力を反映する商品。多くの部材で構成され、成型工程において作業ステップ数は一般的な乗用車用タイヤの15倍以上、高度な熟練のスキルが求められる。成型作業における不具合は製品不良に直結し、安心・安全なオペレーションを支える断トツ商品をタイムリーに供給できなくなることにつながる。そのため、モノづくりにおける匠の技を確実に伝承していくことが、最適なグローバル供給体制の構築に向けて課題となっていた。

そこで同社は、ノビテックの協力を得てデジタルを活用した技能伝承システム(訓練時の作業をデータ化し、作業を定量的に分析・評価することができる教育システム)を開発、新人技能員などの技能訓練に活用し、確実かつ効率的に熟練技能員の匠の技を伝承する仕組みを構築した。成型作業の動きをモーションカメラや慣性・圧力センサーで計測し、新人と熟練技能員の差を作業ステップごとに可視化し評価、低評価のステップについて繰り返し訓練することで、効率的に技能を習得することが可能となった。高度な熟練のスキルがDXによって標準化されることで、高品質な断トツ商品を安定的に供給することが可能となる。

同社は今後もタイヤ・ゴムに関する知見とさまざまなパートナーの知見を融合することで、これまで蓄積してきた技術を伝承しながらイノベーションを加速させ、社会価値・顧客価値を共創していく。