2021年4月25日

【ホース・チューブ・継手特集②】ユーシー産業

空調排水配管市場
ち密な対応で存在感向上

ユーシー産業が取り組むホース・パイプ事業の現状と取り巻く需要環境については、前期(2020年12月期)の売上高は、前期比98・9%、計画比では96・0%となり利益面でもほぼ前期並みの水準となった。同年度は、その前年度の10月に立ち上がった空調機器メーカー向けのドレンホース、キッチンメーカー向け排水ホース、エアコン用換気用ホース、ハウジング向け換気ダクトなどといった新製品における新規受注効果に期待が寄せられたものの、コロナ禍による影響から予定通りの増収結果が引き出せなかった。各施工現場における工事の停止や延滞などにより、業務用空調機器配管材料、各排水材関連も影響を受けたが、前期の12カ月中で回復基調にあった6カ月間は前年同期を上回る数字を確保し、最終的には、ほぼ前年並みの売り上げを維持した。この流れに沿って、2月末における業績についても前年比110%、予算比105%で推移しており、家電向けについても受注を順調に伸ばすなど、今期で予測したプラス材料がそのまま実績に反映されている。

エアコンについては、ウイルス対策の観点で、換気が有効とされている実態から換気機能付きエアコン需要の高まりを予測。この夏も猛暑の予報が立っていることから、各空調機器メーカー向けドレンホースの需要増もプラス要因として見込んでいる。エアコンメーカー市場における需要が伸びを見せることで、その施工に使用されるNDH(断熱ドレンホース)などといった排水配管関係の販売量が増加。同社としては「在庫のレベルを例年よりも引き上げることによって、こういった動きに対応していく」(永𠮷昭二社長)としている。

ハウジング向け換気ダクトについては、前年度に立ち上がったユーザーの新規受注による増加分が、今期は通年で受注できる需要環境が整っている。それによる大きな伸びが期待できたものの、コロナ禍の影響によるハウジング市場そのものが大きく冷え込こんでおり、同社ではほぼ前年並みの売り上げにとどまるものと予測。しかしながら今期の見通しとしては、前期比3%増を予想しており増収増益を見込んでいる。

NDHシリーズは、既にコロナ禍前に国産化を完了していたこともあって、納期遅延を発生させることなく安定した供給体制を維持。同時にYDH(断熱ドレンホース)シリーズも昨年初めから国産化しており、認知度の高まりもあって出荷量も25%程度伸ばしている。需要の最盛期を前に、今期も引き続き出荷量は高まっており、既に30%以上の伸びを獲得。排水フレキシブルパイプ「エバフリー」シリーズについては、今年2月の福島沖地震の影響による対策事業において、エバフリーシリーズのBFP(屋外用)の大型物件の引き合いがあり、そうしたニーズにも迅速に対応した。「当社では、今後とも地震の影響に対する対策事業はもちろん、各インフラ再生事業などにおいても実績を積み重ねることで、各市場における認知度の向上に努めていきたい」(同)。

同社の事業展開としては、サクション、ダクト、電線保護管などといった規格品を中心とした市場への参入を図るという手法ではなく、自社ブランド品を規格品として、空調用排水配管や建築建設用排水材などといった電材・空調資材、管工機材サイドによって求められる独自の商材を供給するスタイルが中心。売り上げ構成比の65%が各機器メーカーに対する売り上げであり、商材における部品の一つとして独自の高品質で貢献している。そうした取り組みの象徴的な一例が国産化であり、ユーザーニーズへのち密で迅速な対応を実現。NDHなどの内製化を25年には80%にまで拡充する計画で、工場においては自動化・合理化を進めることで、生産量の増加に対して省人化を進める方向性で進化に臨み、安定したコンパクトな工場の構築を目指す。

今後のメーカーとしての在り方として同社では「現在販売している空調排水配管市場において、さらにその存在感を高めることで『空調排水配管=ユーシー産業』とイメージされる位置付けにまで持っていきたい」としている。