2021年4月25日

帝人フロンティア
「ナノフロント」の量産化技術開発

リサイクルポリエステル使用では世界初

帝人フロンティア(平田恭成社長)は、リサイクルポリエステル原料を使用した超極細ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」の量産化技術を開発した。リサイクルポリエステルを使用した長繊維による超極細ポリエステルナノファイバーの量産化は世界初となる。なお今回の量産化技術の開発で、同社が展開するポリエステル繊維は、すべてリサイクル原料を使用することが可能となる。

近年、高い機能性や快適性を有する素材へのニーズが高まっており、吸水性やグリップ力などの高い機能性と、ソフトな風合いや肌への低刺激性などの優れた快適性を併せ持つナノフロントの需要は、衣料および産業資材の幅広い用途へと拡大してきた。一方、リサイクル原料を使用した素材へのニーズも急速に高まっているが、リサイクルポリエステル原料を使用した超極細繊維の生産は、ポリマーコントロールや紡糸技術の難度が非常に高いため、量産化が実現していなかった。こうした中、同社はナノフロントの生産方法である海島複合紡糸(二種類のポリマーを「海」部分と「島」部分に分配し、アルカリ処理などで海部分を溶解除去し、島部分だけを原糸として取り出す技術)において、新たなポリマーコントロールおよび紡糸技術を開発し、石油由来の原料を使用した従来品と同等の品質と機能を持つ、リサイクルポリエステル原料使用の長繊維による超極細ポリエステルナノファイバーの量産化に世界で初めて成功した。

リサイクルポリエステル原料を使用したナノフロントは、石油由来の原料を使用した従来品と同等の機能(①吸水性=毛細管現象による優れた吸水・拡散性②高グリップ性=繊維表面にあるナノサイズの凸凹により大きな摩擦力を発揮③ソフトな風合い=繊維がしなやかなため柔らかな風合い④高いろ過性と捕集性=微細な孔径構造により高いろ過性を実現。高空隙構造が可能なため優れた捕集性を実現⑤防透性・遮熱性=ち密な構造による防透性および遮熱性)と品質を有している。

今後、従来のナノフロントからリサイクルポリエステル原料を使用したものへの置き換えを進め、原糸およびテキスタイルをスポーツ・機能性衣料や産業資材など幅広い用途に向けて展開を行い、積極的に拡販を図っていくことにより、2021年度に3億円、25年度に8億円の売り上げを目指す。