2021年5月10日

帝人
ポリエステルのケミカルリサイクル技術

ライセンスで3社共同協議書締結

帝人(鈴木純社長)、伊藤忠商事(石井敬太社長COO)、日揮ホールディングス(佐藤雅之会長CEO)は、廃棄されるポリエステル繊維製品からポリエステルをケミカルリサイクルする技術のライセンス事業に向けた共同協議書を締結した。

近年、温室効果ガスによる地球温暖化や、廃棄プラスチックおよび遺棄漁具などによる海洋汚染といった環境破壊が深刻化、世界中で対策が急がれている。日本においても2050年までにCO2をはじめとする温室効果ガス排出量をゼロにする目標を掲げるなど、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを推進。繊維産業においても衣料品の大量廃棄問題や製造工程におけるCO2排出量などの環境負荷がクローズアップされるなど、サステナビリティ課題の解決が急務となっている。

帝人は、繊維製品を原料としたポリエステルのケミカルリサイクル技術を用いた大規模プラントを操業、廃棄される繊維製品からポリエステル繊維を生産するケミカルリサイクル技術を世界に先駆けて実用化しており、グローバルに事業展開している。

日揮ホールディングスは世界屈指のエンジニアリング技術を備えており、オイルやガス、インフラを中心とするさまざまな分野において豊富な実績を国内外で蓄積。昨今では環境配慮型のプラント建設や、環境関連技術のビジネス化に注力している。

伊藤忠商事は、19年より繊維産業における大量廃棄問題の解決を目指す「RENU(レニュー)」プロジェクトを始動し、使用済みの衣料や生産工程で発生する生地片などを原材料とするリサイクルポリエステル素材のグローバル市場への展開を推進。

今回の協議書締結においては、帝人の持つポリエステルのケミカルリサイクル技術と、グローバルにエンジニアリング事業を展開する日揮ホールディングスの知見、伊藤忠商事の持つ繊維業界の幅広いネットワークを活用することで、廃棄されるポリエステル繊維製品を原料としたポリエステルのケミカルリサイクル技術の国内外へのライセンス展開や、コスト効率に優れたケミカルリサイクルシステムの構築を検討する。これにより、繊維製品の大量廃棄問題に対する有効な解決手段のさらなる拡大を目指す。