2021年5月30日

【ゴム・樹脂コンベヤベルト特集】フォルボ・ジークリング・ジャパン

Eコマースを中心に好調
新たに4製品を上市

フォルボ・ジークリング・ジャパンが手掛ける樹脂搬送用ベルト事業の前期(2020年12月期)ならびに、今期(21年12月期)の第1四半期以降の状況は、新型コロナウイルスの影響もあり、不透明な状態が続いている。同社にとっての主要産業である食品分野では、中食と言われるコンビニなど向けのお弁当やお惣菜関連は好調である一方、インバウンド需要の低下によるお土産関連が低迷した。一般産業用においては、自動車関連は回復基調にあるが、設備投資にまでは需要の伸びが行き届いてはいない。物流面では、Eコマースを中心に好調を極めており、この状況については、今後も継続するものと見ている。繊維分野は、中国をはじめとする東南アジアにおける需要が急激に回復基調を見せており、国内に目を戻してもディスポーザル(使い切り)用途など、衛生材料関連を中心に堅調な状況で推移している。

6月1~4日までの期間において、「FOOMA JAPAN2021」が愛知県の愛知スカイエキスポでリアル見本市として開催される予定だが、同社ではFOOMA初出展の製品を中心にHACCPコンセプト対応の製品を多数出展する。「Fullsan(フルサン)」は、〝Full sanitary(完全に衛生的)〟の略で、帆布を心体としたベルト(トランジロン)とプラスチックモジュラーベルト(プロリンク)の中間に位置する製品群として本年5月から全世界で展開している。ポリウレタンを材料に、押出成形によって製造。優れた耐油性、耐湿熱性、防カビ効果を発揮し、油清掃を容易に行うことができることから、衛生性が重要視されるチキンなどの食肉類、魚介類、製パン、乳製品のほか、食品業界のさまざまな工程における用途に適している。また、包装されていない食品との接触に関する国際的な基準に準拠している。

同社では、業界に先駆けて世界的な衛生基準に対応し、衛生面に対して徹底したこだわりを発揮するモノづくりの姿勢を維持していることでメーカーとしての強みを発揮してきた。90年代前半に欧州においてHACCPが急速に拡大した時代においては、フォルボ・ジークリングのドイツ本社においても、時代の潮流に乗ってHACCPに対応した製品開発に力を注いだ。日本では、他社に先駆けて02年からドイツ製HACCP対応ベルトの国内販売を開始。20年6月にHACCP義務化の法令が施行されてからは、コンベヤベルトに対しても、より洗浄性に優れ、異物混入のリスクが少ない製品を望む声が高まっている。中でも、耐湿熱性ポリウレタンでコーティングした「ProsanフルシールHACCPシリーズ」は前年比124%という堅調な伸びを示している。「Professional Sanitary(卓越した衛生性)」を意味するProsanは、搬送面に加え、下面(駆動面)や側面まで耐湿熱性のポリウレタンでコーティングされている構造が最大の特徴。食品の水分や油などが染み込む心配がなく、常に水洗いが可能。耐熱性にも優れていることから、高温水洗浄にも対応する。洗浄後も乾きやすく、素材そのものに抗菌効果が備わっている。下面(駆動面)には特殊低摩擦凸型パターンが施されており、低摩擦係数でテーブル走行が可能、目詰まりも起きにくくなっていることから清掃も容易となっている。本年5月に新たに4製品を上市。従来から対応している厚生省告示第370号に加え、新たに米国食品医薬局(FDA)規格準拠、食品に接触することを意図する材料および製品に関する規則((EC)No.1935/2004)ならびに、食品に接触することを意図するプラスチック材料および製品に関する規則((EU)No.10/2011)に適合している。そのため、日本国内での使用に加え、海外向けの搬送機器も対応できることから、より幅広い市場やアプリケーションへとターゲットとしての広がりが期待できる。

依然として新型コロナウイルスの感染拡大が大きく、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の実施など、先行きの見通しが難しい状況が継続。これまで実施してきた対面における営業活動が難しい状況において、リモートでの業務や営業活動といった非対面形式による業務の遂行が重要な要素となっている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同社の営業部門やカスタマーセンターは、在宅テレワークへと移行。国内外を含め、社内会議はすべてオンラインによるリモートに切り替えられており、取引先との打ち合せについても、ウェブ会議を通じて行うケースが増えてきている。同社としては、ウィズコロナという現時点の状況において、試行錯誤を繰り返しながら最善策を引き出し、このみぞうの局面を全社一丸となって乗り切っていく。

対面における事業活動が難しい状況に局面にあって、ウェブ上での取り組みも増加。5月14日に、同社としては初めて「オンライン研修会(基礎編)」を実施した。全国の販売代理店の営業担当者、特に新入社員やベルト販売へのかかわりが薄い営業担当者を対象とした研修会で、一昨年まで同社の静岡工場近隣のホテルで実施、毎年40~50人の参加者を対象に、1泊2日の日程で開催していた。35年以上も続くイベントでもあり、数多くの関係者によって認識されているイベントであったものの今回は、コロナ禍によって通常開催は不可能と判断。その結果、今年初めてオンライン形式によって実施された。会場への移動が不要であることから、北は北海道から南は宮崎まで、110人を超える希望者が参加。午前9時~午後4時まで約6時間にわたって同社の主力製品であるトランジロンやエクストレマルタス、プロリンクなど、同社が手掛ける幅広い製品群について学ぶことができた。

今後の展望については、同社の佐藤守社長が今年の年初のインタビューで述べていた同社のビジョンでもある〝最高のムーブメント・躍進し続けるInnovation Company〟の達成に向けて突き進む。このビジョンを達成させるための5つの行動規範を設定しており、社員一人ひとりが同じ行動規範に基づいて同じ目標に向かって一枚岩となって行動するように進めていく。昨年来から続いている新型コロナ感染拡大の影響は決して小さくはないものの、同社では、同じ行動規範にのっとって行動することで目標の達成を果たし、企業としてのさらなる飛躍を目指す。