2021年6月15日

〈2021年3月期決算説明会〉バルカー
純利益は5・9%増

シール製品事業は増収増益

バルカー(瀧澤利一会長CEO)は5月27日、機関投資家・証券アナリスト向けに決算説明会を開催した。それによると当期の売上高は前期比7・2%減の447億1700万円、営業利益は同17・5%減の34億7500万円、経常利益が同13・7%減の36億7300万円、当期純利益が同5・9%増の30億9000万円となった。売上高は先行投資の負担増加の影響があり、当期純利益には、特別利益として計上した投資有価証券売却益9億1600万円が含まれている。新型コロナウイルス感染症による業績への影響はあったものの、主に第2四半期連結累計期間の決算までに反映され、第3四半期連結会計期間の決算以後は回復傾向。受注状況も復調を続けており、第3四半期および第4四半期連結会計期間における受注高はそれぞれ前年同四半期を、両四半期末時点の受注残高においても各前期末を上回っている。売上総利益率は前期比1・9㌽増の39・2%で、先端産業市場(半導体関連)向け高機能シール製品の拡販などによるプロダクトミックス変化が反映された。先行投資負担については、ポストCOVID―19を展望した先端産業市場向け拠点・体制の拡充、基幹システム刷新などといったIT投資、リモートワーク対応の強化などに費用を投じた。ROEは同0・2㌽増の9・0%。営業利益における変動要因は、一般経費の削減で108億円の増益要因があったものの、売上総利益変動額457億円、人件費の増加で252億円、販管費に含まれる減価償却費で137億円のマイナス要因があり、販管費変動額合計で281億円の収益圧迫要因に見舞われた。市場別では先端産業市場が前期比8億円増、機器市場23億円減、プラント市場で19億円減となっている。なお、売上原価・販管費には戦略投資・IT基盤強化分の約4億5000万円が含まれている。

セグメント別では、当期よりセグメント内における個別事業の占める比率を勘案し、従来の「その他事業」から「シリコンウエハーリサイクル事業他」に名称が変更されているが、過年度業績も含めセグメント情報に影響を与えていない。

シール製品事業の売上高は前期比2・3%増の313億4900万円、セグメント利益は同23・8%増の41億6000万円。機器市場や海外のプラント市場向けの販売が減少したが、先端産業市場向けの販売が堅調に推移した。

機能樹脂製品事業の売上高は同17・9%減の107億4200万円、セグメント損失は5億8800万円(前期は5億5400万円の利益)。主要市場からの需要の減少に加え、一部顧客への製品の納入時期の延期、大型案件の見直しなどにより前期実績を割り込んだ。

シリコンウエハーリサイクル事業他の売上高は同14・0%減の26億2500万円、セグメント損失は9600万円(前期は2億9900万円の利益)。主力事業の受託量が減少したことなどが影響した。

今期については、売上高が前期比8・5%増の485億円、営業利益は同15・1%増の40億円、経常利益も同8・9%増の40億円、当期純利益は同15・9%減の26億円を見込んでいる。当期純利益は、前期に特別利益を計上していたことから、その消滅分が減少として算出された。