2021年6月15日

〈2021年3月期決算説明会〉カワタ
特損計上で収益伸び悩む

新規販売分野に注力

カワタ(白石亙社長)は6月9日、東京都中央区の日本証券アナリスト協会およびライブ配信で決算説明会を開催。白石社長が出席し、自ら詳細を報告した。「新型コロナウイルス感染症の直接的な影響として当社グループにおいては操業停止となった拠点はなく、事業活動に大きな影響を受けることはなかった。ただしアメリカ、メキシコ東南アジア各国などにおいてはいまだ活動の制限があり、影響を受けている部分はある」(同社)。そうした状況にあって、各セグメントが事業展開を行っている地域の状況に応じ、安全面を最優先させながらプラスチック成形関連のコアビジネスの充実に注力。電池、食品、化粧品等の新規販売分野の開拓・拡大に力を注いできたが、売上高は前期比20・8%減の167億8700万円、営業利益は同68・2%減の5億600万円、経常利益は同63・6%減の5億9700万円、当期純利益は同72・1%減の2億9600万円となった。特別損益については固定資産売却益100万円、投資有価証券売却益100万円を特別利益、固定資産除売却損200万円、減損損失400万円、投資有価証券評価損200万円、子会社清算損3600万円を特別損失として計上。法人税、住民税および事業税3億3700万円、法人税等調整額のマイナス7300万円を計上したことによって収益も伸び悩んだ。

セグメント別では、日本においては売上高が前期比18・8%減の116億3200万円、営業利益は同38・5%減の9億5500万円、セグメント利益(経常利益)は同34・4%減の11億1500万円。新型コロナウイルスの感染状況は依然として収束の見通しが立たず、一服と再拡大を繰り返していることから、経済活動再開の動きは緩やかで、日用雑貨や容器・物流関連は比較的堅調に推移したものの、自動車関連については引き続き低調に推移した。

東アジアの売上高は同19・1%減の45億9100万円、営業損益は3600万円の損失(前期は1億3800万円の損失)、経常損失は3億5900万円(同1億6100万円の損失)。米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルス感染拡大の収束に伴い、中国国内では経済活動は回復傾向にあるものの、民間設備投資については回復するまでには至らず、売上高が伸び悩んだ。損益面では、操業度の低下に伴う製造固定費単価上昇による売上総利益率の低下(26・5%から20・9%)と、売上高の減少に伴う売上総利益の減少などにより厳しい結果となった。

東南アジアの売上高は同40・9%減の14億2400万円、営業損失が1億1300万円(前期は2億2900万円の利益)、経常損失が1億900万円(同2億3300万円の利益)。前年度後半から続くタイ、インドネシアの自動車関連を中心とした設備投資意欲の減退に加え、依然として新型コロナウイルスの感染拡大が続いている地域が多いことなどから、売上高が伸び悩んだ。損益面では、売上総利益率の低下(33・4%から29・5%)ならびに売上高の減少に伴う売上総利益の減少等が大きく響いた。

北中米の売上高は同56・1%減の9700万円、営業損失が8500万円(前期は7100万円の損失)、経常損失は9300万円(同7200万円の損失)となった。

今期については各セグメントで主力のプラスチック成形関連分野での需要回復に加えて新素材、新エネルギー、AIを中心とした成長分野を着実に取り込むことにより、売上高を前期比11・4%増の187億円、営業利益は同64・0%増の8億3000万円、経常利益は同30・6%増の7億8000万円、当期純利益を同72・0%増の5億1000万円を見込んでいる。