藤倉コンポジット
「新中計フェーズ2」策定
テーマはTRANSFORM
藤倉コンポジット(森田健司社長)は第6次中期経営計画(2020~24年度)における後半の計画として、22~24年度を実行期間に置いた「新中期経営計画フェーズ2」を策定し、6月14日にウェブを通じて説明を行った。前中期経営計画(17~20年)に対し、第6次中期経営計画のテーマを「TRANSFORM(変化にチャレンジし、〝変わる〟から〝変える〟へ)」に設定。新中期経営計画フェーズ1(20~22年度)を回復期とし、同フェーズ2を成長期と位置付け、収益性の向上を最重要課題に置きながら、サステナビリティ経営の実現に向けた事業戦略を策定した。定量目標としては24年度での売上高354億円(20年度は290億円)、営業利益23億円(同10億円)、ROEについては5・6%(同4・8%)を設定しているが、7%以上を目指して各施策を着実に進める。
「前中期経営計画で実施した実績として、設備投資などについては、一部において投資環境の変化に応じて取捨選択。開発品についてはめどの立った医療、電池、センサなどから実行組織へ移管し、販促活動を開始した。新中計では、事業ポートフォリオにおいては収益性、継続性を加味して関係会社を含めた再認識、分析、再構築を実施。業務改革推進室の設置を行い、部分最適化の業務改善から全体最適化の業務改革へとDX投資に向けての着実なステップを踏む。サステナビリティ経営に向けては、SDGs推進委員会により、優先課題を決定し、KPI設定のフェーズへと移行させる。健康経営プロジェクトとしては、今年認められたスポーツエールカンパニーとしての称号の継続的な認定を目指す」(森田社長)。
設備投資の計画内容としては、海外拠点補強に向けて地政学的リスクを最小化する目的から、地産地消推進を基本方針として設定。米国、中国、ベトナム、第5生産拠点すべてを加味した再配置を計画・立案する。稼ぐ力の強化施策として、全社へ横断的に自動化推進による原価低減、不良低減を確実に実らせ収益性を向上、新規事業開拓を目指し、開発フェーズから量産フェーズへと移行させ、市場実績を確実に積み上げる。新規引き合いの獲得をしながら追加投資を実行する。
セグメント別では、産業用資材の24年の売上高230億円(20年は190億円)、営業利益は16億円(同3億円)を目指す。自動車および住宅設備は21年3月期を底に回復、現流動品の減少を新規受注の獲得を図りながら25年3月期で完全回復を目指す。液晶・半導体関連の設備投資は25年3月期まで続くと予測、成長ドライバーとして事業戦略アイテムの拡販を軌道に乗せる。事業戦略としては、次世代自動車プロジェクトを推進室へと昇格させ、全社組織として活用。パワートレイン別に複合技術の強みを生かした戦略を立案し、将来の事業基盤として育成する。既存の耐火材、しゅう動材を中心とした高機能材料の販売を住宅設備分野に向けて促進。カーボンニュートラルの実現に向けた流れに乗り、風力発電ブレード保護シートのグローバルでの販売も促進する。精密分野において精密シリンダ、精密加圧ヘッド、除振装置によって技術を蓄積し、自社装置販売へとつなげる。医療分野においては量産実績を確実に積み上げ、大型案件の受注と新規開発へのアプローチを強化する。荷重センサ、液体検知センサの用途を開拓し、積極的なアプローチから実績づくりを確実に行う。
引布加工品については売上高50億円(同42億円)、営業利益3億円(同0・3億円)を目指す。引布加工品は官需による安定受注、救命いかだ整備事業の拡大、産業資材での新規獲得によって堅実な成長を目指す。印刷材料はグローバルブランドを投入し、ブランドイメージの回復を図り、売り上げの増加を目指す。事業戦略の概要としては、新型いかだにより競争力を向上させながら、整備事業契約獲得を増加、中長期的な収益基盤の安定化を図る。エアーテントの既存技術を活用し、医療用陰圧テントの開発、販売を目指す。
スポーツ用品については売上高68億円(同56億円)、営業利益12億円(同12億円)。ゴルフシャフトは国内における市場シェアを維持しながら、北米拠点との協働によってグローバルでのブランディング戦略を実行する。産業用品はこれまでの多様な商品開発から「選択と集中」を実現し、当中計の間に大型量産案件を立ち上げ、収益基盤を盤石化。利益面では現在の収益性を維持しながら、各拠点、協力会社の役割を明確にすることで増減に柔軟な対応ができる体制を構築する。事業戦略の概要としては、継続してグローバルでのブランディング戦略を推進。産業用品においてEVおよびFCV、無人飛行機、ロボットの市場に絞り込み複合技術を生かしながら事業化を目指す。新カテゴリーシューズ「CRV」を22年初春に販売を開始。登山にとらわれないライトアウトドアを意識した商品群として、カジュアルや靴市場でのシェア獲得を目指す。
ESG経営に向けては、医療機器、救命いかだ、ゴルフシャフト、ノルディックウォーキングポールなどといった製品の供給を通して社会の課題解決に貢献。長時間労働削減に向けた取り組み、テレワーク推進環境の整備・運用などの労働環境改善に積極的に取り組む。次世代自動車、省エネ住宅設備、再生可能エネルギー関連部品などといった製品の供給を通じて環境負荷低減に貢献。生産活動を起点とした廃棄物、VOCの削減に努める。